セレブリティ・ミレニアムは、コロナ禍で運行が一時中断されて以来、旅客を乗せて北米の港を出発した最初の船だった。乗船する人は、運航再開にあたってCDCが定めたガイドラインを順守。16歳以上の全員が、ワクチン接種証明書と、乗船前72時間以内に受けた検査での陰性の結果を提示していた。
ロイヤル・カリビアンの発表文によると、下船前の検査で陽性が確認された2人は同じ客室に滞在し、どちらも無症状無だった。検査結果の判明後は、乗船していた医療スタッフの監視のもと、客室内で隔離されているという。
一方、この前日には、地中海を航行していたクルーズ船「MSCシーサイド」の乗客2人が検査で陽性が判明し、下船している。MSCシーサイドは出航の96時間以内と乗船時の検査で陰性だったことを求めるのみで、ワクチン接種を必須とはしていない。
接種完了なら旅は安全?
乗船する全員がワクチン接種済みの証明書を提示していたセレブリティ・ミレニアムで起きたことが意味するのは、どのようなことだろうか。
まず、米国内で現在、使用が承認されている新型コロナウイルスのワクチンはすべて、重症化と死亡を防ぐことにおいて、非常に有効性が高い。さらに、他の人に感染させるリスクも低減させる。だが、ワクチンの有効性は、これらのいずれを防ぐことにおいても、100%ではない。
つまり、接種を完了したすべての人の感染が防がれるわけではない。また、乗船前の検査で陰性だった人が、検査から船に乗るまでの間に感染することも、十分にありうる。
乗船する全員が本当にワクチン接種を完了していた場合、船内での感染拡大を抑制することは、それほど難しくはないだろう。それでも、セレブリティ・ミレニアムの乗客に陽性反応が出たことは、未接種の旅客に乗船を認めることへの懸念を高めたはずだ。