大変身の日産ノートe-POWER、効率抜群のハイブリッドで一直線の未来感

精悍な顔つきになったNOTE e-POWER


ノートe-Powerは自分で充電できるEVと考えていい。走り出してすぐ気づくのは、先代のワンペダル操作より進化したこと。アクセルを踏めば加速するし、同じアクセルを離したら、回生ブレーキで減速するという、いわば「ワンペダル」で操作する。その効果はストップ&ゴーの続く街中でアクセルとブレーキの踏み替えが少なくすむわけだ。

先代モデルでは、アクセルを離したら完全に止まってくれたけど、今度の2021年モデルは、速度5、6km/hのクリープを残して、自分でブレーキを踏んで止めなければならない。海外のモデルは完全に止めてくれるけど、ドライバーにある程度の責任感を持たせたいという日産の気持ちは理解できる。

今回、より強力になった4WDパワーユニットは、1.2Lのエンジンとモーター2個で構成されている。エンジンは82PSで、前の電気モーターは116PS、後ろのモーターは68PSと先代より大きくパワーが上がった。e-POWERの出力は6%、トルクも10%向上しているし、バッテリー容量もかなり上がっている。

運転フィーリングはほぼ純EVだし、加速はスムーズでリニア。今回の4WDシステムは悪路や雪道でスリップした時だけに動くのはではなく、ドライ路面で走っても、ほぼ全てのシーンでリアのトルクが働いている。元気にコーナーに入っても、リアがちゃんとついてきているという感じがあって安心する。ステアリングも軽いけど、ターンインが正確だし、しっかりと路面からフィードバックを読み取っている。

そして、何よりも静かだ。生活圏の中での乗り心地は良いし、道路のひび割れや高速道のつなぎ目の部分でも丁寧に凹凸を吸収してキャビンに伝わらないようにする。

ブレーキも進化した。後輪でも減速を行なっているので、ブレーキの効きがより強くなり、リアの回生制御をより細かく行うことで、アクセルを緩めると車体の姿勢がよりフラット感を保つというか、ピッチングがグーンと減っていることを体で感じる。クルマに酔いやすい人には嬉しい。

ドライバーとしてハッピーなのは、シフトの操作系が、先代で不評だったマウスのようなジョイスティックから、掌に収まるしっかりとしたシフトレバーに大変身したことだ。やはり、遊び心満載のラップトップ的な印象よりも、接続感のあるレバーに変えて欲しいという多くのドライバーの声に、日産はこたえている。

NOTE e-POWERのセンサー
後退時車両検知警報など、安全面も充実している

ところで、新ノートは世界初の機能がついている。

それは、ロードノイズが大きい荒れた路面で、「わざとエンジンをかけてしまう」というもの。これは賢い。つまり、そのロードノイズの中にエンジン音を隠すことで、エンジンの存在は感じさせずに、バッテリーを充電する。やはり、EVモードで走っている時は非常に静かなので、エンジンが「カシャーン」とかかった時の音を出来る限り隠したい気持ちもわかる。

もちろん、「全方位運転支援システム」という360度セーフティアシストもついている。フィーチャーは多く搭載されているけど、その中で目立つのは、緊急ブレーキ、踏み間違い衝突防止アシスト、後退時車両検知警報。また、日産の目玉商品のプロパイロットも進化している。ステアリングホイールの専用ボタンを押すだけで、日産流のACCが作動して、車線のど真ん中をキープしながら、前のクルマに追従する。

ガソリン車から電欠が不安なEVにまだ乗り換えができない人、または充電インフラに不満な人に、ノートe-Powerは打ってつけではないか。ルックスも一新しているし、4WDの新しいe-Powerユニットの走りもスムーズで力強いし、ハンドリングや乗り心地も文句なし。コストは、ナビや16インチのタイヤを入れれば300万円超えだが、納得できる設定だと思う。

国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら

文=ピーターライオン

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