32年ぶりにCEOが交代したロンジン その現在と未来を語る

Matthias Breschanマティアス・ブレシャン(ロンジンCEO)。オーストリア出身。IT関連企業を経て、1996年にスウォッチグループに入社。スウォッチテレコムを担当していた。2005年より同グループの執行役員に。ハミルトンCEO、ラドーCEOを経て、2020年7月にロンジンのCEOに就任した。


「ロンジンはパイロットウォッチが有名ですが、ダイバーズウォッチの歴史も深い。1930年代から防水時計を製作していますし、クロノグラフ製造で培った技術を回転ベゼルに応用するなど、技術革新も早かった。英国海軍に時計を供給した際には、ノルマンディー上陸作戦でも使用されましたし、歴史的逸話はたくさんある。レジェンドダイバーの原点である『ロンジン スーパーコンプレッサーダイバーズウォッチ』は、ブランドの歴史を語るうえで欠くことができないタイムピース。だからあらためてこの時計を語りたいのです」


ケースバックには、初代モデルと同じく潜水士の姿が入る

そういった考え方は、とても誠実である。スマートウォッチ時代になり、嗜好性に重きを置くブランドも増えている。しかしロンジンではあくまでも、“本物のスイス時計”であり続ける。

「いまから15年ほど前になりますが、バーゼルフェア(世界最大の時計と宝飾の見本市のことで、その後バーゼル・ワールドへと名称を変更した)にて、安価なトゥールビヨンウォッチが多数発売されました。これは、プライスを上げてラグジュアリーなイメージをつくろうという戦略でしたが、ロンジンはこういったトレンドには乗らなかった。あくまでも1000~4000スイスフランというプライスレンジのなかで、本物のバリューを提供したいのです」

 
新作の「ロンジン レジェンドダイバー」は、グラデーションダイヤルを採用。これは昔のモデルが経年変化で変色した様子をイメージしたもので、ブルーとレッドの色はイタリア市場からのリクエストに応えたもの。

 
ダイヤルカラーの美しさに引かれるが、ムーブメントも進化しており、パワーリザーブは約72時間。シリコン製のひげゼンマイを使用しており、耐磁性能も高めている。価格はどちらも¥314600。

確かにレジェンドダイバーには、タイムレスな魅力がある。ケース径は42㎜だが、逆回転防止ベゼルが内側にあるためデザインはスマートでエレガントにも見える。

グラデーション仕上げダイヤルもここ数年のトレンドであり、シックだが華やかでもある。これならカジュアルなスポーツウォッチとしてだけでなく、ビジネスシーンで使ってもいいだろう。バランスの取れたロンジンらしいこの時計が、これからのブランドが進む方向を示している。

ロンジン
https://www.longines.com/jp/

text and edit by Tetsuo Shinoda

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