ビジネス

2021.06.17 10:30

古い事業は脱皮できる!「高付加価値」を生む小さな大企業ベスト9


CRAFTSMANSHIP


岩手製鉄
技術で常識に挑んだ鉄のプロフェッショナル

製鉄業から出発し、平成以降は工業用鋳物製品の製造業として成長してきた鉄のプロフェッショナル。酒造メーカー向けの大型の酒米蒸し釜など、高度な技術・ノウハウが要求される案件を多数請け負っている。

2008年のリーマンショック以降は、鋳物業界の低迷を受けて新規事業に挑戦。「岩鉄鉄器」ブランドで、オリジナルのフライパンを生み出した。同製品は、独自技術によって軽い・さびにくい・焦げつきにくいという鉄器の常識を覆した利便性が評価され、注目を集める。2020年は前年比2.5倍の1万個を販売した。今後はアジア圏を中心に、海外での販路を開拓していく方針だ。


岩鉄鉄器のフライパンは頑丈で、厚さ1.6mmと従来の鉄製フライパンより大幅に薄くて軽い。表面特殊加工によってさびにくく、普段使いできる。

REASONS FOR SELECTION
製鉄、鋳物製造からのビジネスモデル転換を図っていることはもちろんだが、長年培ってきた独自の技術力で、これまでの鉄器の常識を超えた革新的な製品を生み出し、実際にヒットを飛ばしていることは称賛に値する。

本社:岩手県北上市
設立:1949年
従業員数:72人
代表:佐藤満義


中央葡萄酒
世界展開を先駆ける甲州のリーディングワイナリー

「グレイス(GRACE)」ブランドでワインを展開。日本のワイナリーが国内市場を中心としているなか、適正の市場を世界に求めていち早く本格的に海外展開を試み、2014年には「キュヴェ三澤 明野甲州2013」が世界で最も権威あるワインコンクール「Decanter World Wine Awards」で日本ワイン初の金賞を受賞。以後、6年連続で受賞の栄誉に浴する。社長の三澤茂計は山梨のワイン業界の重鎮として知られており、現在はフランスのワイナリーで修業を積んだ娘の彩奈氏が栽培・醸造を仕切っている。生産量の4分の1近くを20カ国に輸出。欧州に加え、豪州やシンガポール、香港などアジア圏にも進出し、受賞実績に甘んじる姿勢は見えない。


産地と向かい合うつくり手でなければならないという信念のもと、「ワインに風景があるか」を自問自答し、ぶれない視点できめ細やかなワインづくりを追求している。

REASONS FOR SELECTION
山梨のワインは有名で、商売上手なワイナリーはいくつもあるが、中央葡萄酒は他社に先駆けて「世界で戦う」という志をもって海外に進出し、国際的なワインコンテストで受賞するなど、実績をあげている点を評価した。

本社:山梨県甲州市
設立:1953年(1923年創業)
従業員数:20人
代表:三澤茂計
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文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.081 2021年5月号(2021/3/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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