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2021.07.05

「成果を実感」はまだ1割程度! DX勝ち組企業に共通する基本スタンスとは 〜「未来を描く力」の高め方 Beyond DX編

先が見通せない時代。逆説的な話だが、これほどまでに「未来を描く力」が求められたことはない。

いま必要なことは、世界中の人々と手を取り、新しいビジョンを描くこと。そのための戦略を、4つのキーワードから突き詰めていく! ここでは、COVID-19によって加速した企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の現状と成果を出すためのポイントについて考察する。


DXが加速している━━このところ日常的に使われているフレーズだが、果たして実態はどうか。そして、世界はどのような状況なのか。アジア太平洋マーケティング研究所所長で、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科において人気講座「DX特別講座」を開講する笠原英一と、NEC DXオファリング・プラットフォーム戦略本部本部長の繁沢優香が語り合った。

デジタルによる革新、DX(デジタルトランスフォーメーション)が大きな潮流となって久しい。経済産業省が、「2025年の崖」という衝撃的なキーワードとともに「DXレポート」を発表したのが2018年9月。以降、働き方改革への取り組みや、COVID-19への対応などでデジタルシフトは急速に進んだ。政府もデジタル化を看板政策に掲げており、2021年9月にはデジタル庁が創設される予定となっている。

着々とDX推進の環境が整っている一方で、「日本のDXは遅れている」との論調が根強いのも事実。それは真実なのか、だとしたらどのような処方箋が必要なのかを早急に検討し、対処していかなければならない。この喫緊の課題に、アカデミアとビジネスの最前線でDXと向き合ってきた2人は、どのような解を導き出すのだろうか。

日本のDXの定義はバラバラなのが現状


繁沢優香(以下、繁沢):DXを加速させていくには、まず現状を知ることが大切だと思います。とりわけ気になるのは世界の状況です。デジタル戦略分野のグローバルリーダーの1人であるデビッド・ロジャースの著書「DX戦略立案書」の邦訳も担当されている笠原先生は、この3月に世界各国から生徒が集まっているコロンビア大学経営大学院(コロンビア・ビジネス・スクール)でDXについての講演をされ、日本との違いを痛感されたそうですね。


アジア太平洋マーケティング研究所所長、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科客員教授 笠原英一

笠原英一(以下、笠原):はい。コロンビア・ビジネス・スクールの講演プログラムにはアメリカだけでなく南米やアジア、ヨーロッパから、もちろんビジネスのプロフェッショナルも多数参加していまして、寄せられたコメントが非常に興味深いものでした。「もはやDXに効果があるかどうかを議論している段階ではない」「1日でも早くDXプロジェクトで成果を出すにはどうしたらいいか知りたい」という意見が多かったんですね。2年前ならば「DXには効果があるんですか」という質問が多かったのですが、世界中の企業がCOVID-19で一気に危機感に目覚め、早急に実践段階へ進んでいることがわかりました。

例えば「DXの成果をどのような指標で評価すればいいか」、「みなさんの企業では、各事業部とDXチームの関係構築をどうしているのか」など、実務でDXを推進しているゆえに出てくる問題意識が目立ちました。


繁沢優香 NEC DXオファリング・プラットフォーム戦略本部 本部長

繁沢:グローバルのDXは日本よりも一歩進んでいるということですね。確かに、私も日々お客様企業と接するなかで、日本はまだ「DXとはどういうものなのか、どうすればいいのか」でとどまっている段階だと感じます。もちろん、かなり多くの企業が「DXに取り組む」という経営方針を打ち出していますが、「レガシーシステムを刷新すればDX」と考えている企業もあり、DXの定義がまだ定まっていない印象です。

笠原:繁沢さんのおっしゃるとおりで、日本でもこの5年くらいでDXへの関心は非常に高まっているんです。Googleの検索回数はうなぎのぼりで上がっていますし、Amazonで売れている本の上位はデジタル関係です。それなのに、なぜDXの定義がバラバラなのか。さまざまなシンクタンクのDX調査の項目となっている「DXを実施した目的」を見ていくと、その答えが見えてきます。「業務の省力化」「情報の共有」「業務プロセスの改善」「生産性の向上」といったオペレーションの改善を目的とした企業が多いんですね。

繁沢:オペレーションの改善は重要ですが、そこを目的とすると成果につながりにくいのではないでしょうか。本来ならば、ビジネスモデルや戦略を考えて、そのために必要なテクノロジーをアナログからデジタルへ切り替えていくのがDXのあるべき姿だと思いますが……。

笠原:そうなんです。そこに気づく企業も多くて、DXでの成果があがらない阻害要因として、「DX人材が確保できなかった」だけでなく、「ビジョンが不明確だった」「ロードマップがつくれていなかった」という項目が挙げられています。そして、DX成功の実感がある企業は少数(5.9%~13.2%)という実態が浮き彫りになっているのに着目いただきたいですね。



事業と組織の双方の「変革」が重要


繁沢:笠原先生にご提示いただいた資料を拝見すると、1,000名以上の従業員がいる企業の半数以上が何らかのデジタルプロジェクトに着手しているという調査結果もあります。DXへの取り組みは本格化しているのに、目的の設定を間違えたり、戦略が不明確だったりで迷走してしまっているということですね。一方で、1割未満と非常に少ないながら、成功している企業もあります。今後底上げをはかっていくうえで、その特徴を把握するのは非常に重要だと思いますが、いかがでしょうか。

笠原:そのとおりだと思います。私も、さまざまな調査で成功したグループとそれ以外の差分を見ていく手法を用いますが、DXに関して実施した独自調査によって、2つの成功要因があると分析できました。1つは、いまも申し上げたDXの目的や戦略の明確化。特に、売上高や利益率といった業務効率向上だけなく、「顧客価値」「業務効率向上」の両方を目的にした企業がよいパフォーマンスを発揮するという結果が出ています。

もう1つは、組織運営です。DXは1人では進められませんし、物事を成すときのインフラとして組織は欠かせないからです。ではどんな組織運営が必要かを分析していくと、「高い専門性をもつスタッフ」「DX戦略が明確に定められ、その重要性が共有できている」「新たなものに積極的にチャレンジする文化がある」「外部専門家を柔軟に活用できる」といった要因が抽出できました。



繁沢:DXには事業戦略と組織が重要だということですね。

笠原:はい。何をトランスフォームするかという視点で見ていただきたいと思います。まず事業のあり方を変化させ、それを実践するプラットフォームを変化させていく。事業と組織の双方を変えるのが極めて大事だということです。

ではこの2つをどう変えていくか。ここで着目いただきたいのが、事業を構成する2つの価値領域です。価値提案(バリュープロモーション)と、価値提案を具体化するための価値ネットワークですね。デジタル化を進めることが目的ではなく、どういう価値をユーザーに届けていくかを考え、そのためにどういう業務が必要になるのか。そして、その価値を届けるためのチャネルは直接販売なのか間接販売なのかECなのか。そういったことを考え、構築する組織開発を同時に進めていくのが、DXを成功させるポイントだと思います。



わずか10日でサービスイン。大阪のCOVID-19対策


繁沢:社会全体の変化のスピードが早まっていることも踏まえ、従来のウォーターフォール型の取り組みでDXを成功させるのは難しいということでしょうか。

笠原:はい。むしろプロトタイプをたくさんつくり、実験を繰り返しながらもっともよいモデルを採用していくアジャイルな展開が求められます。組織開発には、そういった風土改革も併せて行わなければなりません。テクノロジーの実装も含めたスピード感あるトランスフォームが必要だと言えるでしょう。NECさんでも、そういったDX支援事例は増えているのではないですか?

繁沢:スピード感の重要性を感じる機会は非常に増えています。従来は、ハードを含めたシステムインテグレーションをパッケージ化してご提供していましたが、現在はこれまで集積したお客様の経営課題をもとに、NEC全社の知見を集結させた価値提供モデルとして「DXオファリング」をご用意しています。課題分析・コンサルテーションを通じたDX戦略策定から人材育成まで、クラウドベースでスピーディに活用できるようになっています。

とりわけCOVID-19対策では、いままででは考えられないほどのスピードが求められていますので、この「DXオファリング」が役立つ機会が増えています。例えば、観光ビジネスが最大の収入源であるハワイをご支援したのですが、5つある空港の感染症対策の仕組みをわずか1カ月で導入することができました。

それよりもさらに短期間での対応が求められたのが大阪コロナ追跡システムの問い合わせ対応です。電話回線がパンクしたりヘルプデスクが対応できなかったりという切羽詰まった状況が続いていたのですが、自動応答システムを10日間でサービスインできました。

笠原:1カ月というのも驚きですが、10日とは! NECさんには重厚長大なイメージがありましたが、実際は非常にアジャイルな対応をされているのですね。そんな短期間で戦略立案からテクノロジーの実装までできるということは、その「DXオファリング」は標準化したパッケージなのでしょうか?

繁沢:はい。少し前ならば要件定義にも1カ月くらいかけるのが通常でしたが、スピード感をもって対応できるようにテーマごとのオファリングメニューをあらかじめご用意しています。そうすることで、お客様ごとのユニークな部分にも迅速にカスタムできるわけです。

笠原:1to1でソリューションを構築するのも価値があることですが、セグメントごとに標準化されたソリューションを用意しておくのはスピード感を担保するうえで非常に重要なアプローチだと思います。



「Core & Peripheral」のスタンスで外部をうまく活用する


笠原:NECさんの事例を聞いてあらためて思ったのは、今後は新たなことを考える「クリエイティビティ」だけでなく、実践の要素が入る「イノベーション」が重要になるということです。同じことを考えているなら、迅速に実現したほうが勝てますよね。まさにタイム・イズ・マネーですが、そのためにはシリコンバレーで以前から大切にされている概念のひとつである「Core & Peripheral(コアと周辺)」に着目するべきだと思います。コアな戦略の部分は自社できっちり取り組みつつ、専門性が求められる部分は外部の専門家をどんどん活用していく。新たなテクノロジーがどんどん登場し、複雑多様化する社会のニーズに対応していくには、この使い分けを意識する経営スタイルが重要ではないでしょうか。

繁沢:外部の専門家を使いこなすことで、経営や本業の部分により注力いただける効果も出てくるかと思います。NECは使いこなしやすい存在として、戦略開発と組織開発、そして最新テクノロジーの導入の3点でお客様企業のDXをご支援していきたいと思っています。笠原先生、本日はどうもありがとうございました。



既存の価値観やビジネスモデルが通用しない「VUCAの時代」には、当然のことながらニーズも随時変化する。繁沢が挙げたハワイや大阪のCOVID-19対策のように、即対応しなければ都市全体の持続可能性が失われるケースも珍しいものではなくなるだろう。そうした事態にアジャイルかつ柔軟な対応をするには、笠原が指摘した「Core & Peripheral」のスタンスが必須だということだ。

オープンイノベーションの有効性は以前から指摘されていることだが、VUCAの時代を迎えたいま、DXの推進はもはや「そうしたほうがいい」という選択肢ではなくなった。世界のビジネスパーソンが認識しているように危機感をもって「どうしたらDXの成果を1日も早く挙げられるか」を問うならば、外部専門家とのコラボレーションは必然であり、どの専門家を選ぶかが重要になってきているのである。選ぶ際の視点で欠かせないのが、2人の議論で見えてきた「戦略開発・組織開発・スピード感・テクノロジー」の4点。観光客誘致に悩むハワイで1か月、COVID-19に苦しんでいる大阪で10日と、スピード感のある課題解決を行うことが出来た事実こそ、その4点を満たしたサポートがいかにDX推進に有効かを示していると言えよう。


かさはら・えいいち◎アジア太平洋マーケティング研究所所長、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科客員教授。博士(Ph.D.)。アリゾナ州立大学サンダーバード経営大学院、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院(Executive Scholar)、早稲田大学大学院後期博士課程修了。専門は、産業財マーケティング、戦略的マーケティング、消費者行動論、グローバル・マーケティング、ベンチャー・マネジメントなど。

しげさわ・ゆか ◎NEC DXオファリング・プラットフォーム戦略本部 本部長。外資系IT企業に30年以上勤務。IT関連のオファリング企画開発責任、品質管理責任、M&A後の日本法人社長、グローバル企業のシステムアウトソーシングの責任者などを歴任。2020年7月、NECに入社。DXオファリングとDXプラットフォームという新しいコンセプトでお客様のDX実現を支援すべくNEC全社のリードをしている。


NECが創出する社会と産業のデジタルトランスフォーメーション
https://jpn.nec.com/dx/

[特集記事]変革リーダーが語る~DXの深化と探索~
https://jpn.nec.com/dx/report/

連載「BEYOND TECHNOLOGY 『未来を描く力』の高め方」はこちら

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Promoted by NEC / text by Hidekazu Takahashi /Photographs by jun ishikawa / edit by Akio Takashiro

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