ドージコインは「夢の通貨」?
世界最大級のプロ投資家対象暗号通貨取引所、コインベースは6月1日、ドージコインを上場したと発表した。
この新通貨がブレイクした裏にあのイーロン・マスクがいることはよく知られている。彼は「ドージの父」を自称し、熱烈支持。煽るようなツイートをしながら自ら投資、生後9カ月の息子にも購入し、「息子にもドージコインを買った。これで彼も『トドラー・ホドラー(乳幼児の仮想通貨長期保有者)』だ」とツイートするなどしてその価格を高騰させてきた。
さらに彼が代表を務める航空宇宙メーカー「スペースX」が、2022年前半に予定される月探査ミッションの支払いをドージコインで受け付けると明らかにしたことも話題になった。またさきごろは「ドージの開発者と協力してシステムの取引効率を向上させる」と発表もした。
ドージコインは5月単月で800%上昇、6月10日時点の時価総額は約4.4兆円で、暗号通貨の中で7位につけている。
だがそんな中で、すでに一般投資家から「ドージコイン・ミリオネア」が誕生し、アメリカン・ドリームを体現していたことはあまり知られていない。先に挙げたアメリカ人、ロサンゼルスの会社員、グローバー・コンテッソート、33歳だ。彼はアプリ上でではあるが、実に700%の「勝ち」を獲得したのだ。
ドージコインに2500万円を投資、ワンナイト・ミリオネアとなったグローバー・コンテッソート
現在0.36ドルのドージコインの価格が1ドルになったとき、彼の(アプリ上の)資産は一体いくらになるのか?
そもそも「ドージコイン」とは?
では、「ドージコイン」とは何か。まず「ドージ」とは「柴犬」の意。日本人ユーザーがアメリカの人気ソーシャルネットワーク・プラットフォーム「Reddit」に写真を投稿したのがきっかけで、この日本犬は爆発的なインターネット・ミーム(ネットを通じて爆発的に拡散される一種の「ネタ」)となった。
このミームの名と柴犬ロゴを冠した「ドージコイン」はビットコインやイーサリアムと同じ暗号通貨の一種で、インターネット上で通貨を送ったり受け取ったりする方法のひとつである。
ドージコインは2013年、2人のプログラマーがいわば「冗談」で作った暗号通貨だ。だがその価格は今年に入って急騰し、前出のとおり、時価総額でGMを抜くまでになった。2021年に入ってからの各暗号通貨の上げ幅でいうと、ビットコインは+113%、イーサリアムは+324%であるのに比して、ドージコインはなんと+7555%だ(5月6日「Newsweekオンライン」)。
コンテッソートはこの新通貨がネット上でわずか話題になった頃から、この通貨についてむさぼるように情報をあさり始めた。そして2月、ドージコインが4.5セント(0.045ドル)の時点で全貯蓄をつぎ込み、さらには株取引アプリの「Robinhood」から借金さえして総額25万ドル(約2500万円)を投資したのだ。