「『売る』だって? そんな発想はありえない」
だがコンテッソートはこれに懲りなかった。それどころか、逆にこの体験からアグレッシブな学びを得て、「次のGameStop」さえ見つければミリオネアも夢ではない、と考えたのだ。
6歳で両親と姉とともにブラジルから移住し、小学校時代は日々のランチ代にも事欠く貧しい少年時代を経験したコンテッソート。今、まさにアメリカン・ドリームを「アプリ上で」体現したが、今だ「勝ち」を確定していない。彼は前出の「The Daily」5月14日配信の番組中、次のように語っている。
「ドージコインを売らないか、だって? そんな発想は、一瞬たりともよぎらない。売るどころか、価格が下がっても買い続けるよ。たとえばアマゾンの株を持っていたらどうする? ちょっとくらい下がったからって、売ったりしないだろう? 暗号通貨こそが未来通貨になることを、僕は信じてるからね」
そもそもはソフトウェアエンジニア2人組の「ジョーク」から始まったこの通貨、「柴犬」のインターネット・ミームをイメージに冠しているだけあって、ネット上の風説や軽いコミュニケーションの内容に、とりわけ影響されやすいともいわれる。事実、5月9日に「サタデーナイトライブ」に出演したマスクが口にした冗談めいたコメントをきっかけに多くの投資家が「売り」に走り、この通貨の価格は下落している。
たとえばマスクが今週、「ドージ? ああ、そんなジョークコインもあったっけ、ぼくの冗談も真に受けないでくれよ」などとツイートしたら? 虎の子の貯蓄すべてを注ぎ込んだコンテッソートの強気は報われるのか?
投資家ならずとも、気になるところではある。