コロナ対策の現金給付はベーシックインカムへの道筋となるか

Getty Images


毎月の現金給付とユニバーサル・ベーシックインカム


景気刺激策として毎月現金を支給することと、ユニバーサル・ベーシックインカムには、どのような関係があるのだろうか。ユニバーサル・ベーシックインカムは、受給者に収入を保証する社会保障のひとつで、新しい考え方というわけではない。古くはマーティン・ルーサー・キング・ジュニアが最低限の所得補償を提唱していたし、最近では、2020年米大統領民主党予備選に出馬したアンドリュー・ヤンが、ベーシックインカムを公約の柱にしていた。

ヤンが掲げていた公約は、毎月(しかも死ぬまで)のベーシックインカム支給であり、新型コロナウイルスの感染拡大や、何らかの経済危機と関係したものではない。「自由の配当(Freedom Dividend)」と称したヤンの計画は次のようなものだった。

・18歳以上のすべての米国民に、毎月1000ドル(年1万2000ドル)を支給する。
・受給資格は設けない。
・この給付金は政府が保証するもので、生涯支払われる。

米議会は、コロナ終息までの現金給付、またはUBIを可決するか


バイデンは毎月の現金給付を支持していないが、副大統領カマラ・ハリスは上院議員時代に、毎月2000ドルの現金給付を支持していた。いずれにせよ現時点では、毎月2000ドルの現金給付を実現させられるだけの票は集まっていない。

米国では現在、パンデミックに対応するための4回目の現金給付が実施されるか否かが話題となっているが、いくつかの理由から、4回目はなさそうだ。現在の議会の状況を見る限りにおいても、ユニバーサル・ベーシックインカムが実現することはないだろう。景気刺激策としての月2000ドルの現金給付は、新型コロナウイルス感染拡大に対応するためのもので、期間が限定されている。それに対して、ユニバーサル・ベーシックインカムは恒久的に続くものだ。

とはいえ、食料不足や経済不安が減ったことはもちろん、不安やうつ病が減少したことなどを示す経済的・社会的なデータを見ることによって、救済策に代わる別の方法を探ろうという機運が再び盛り上がるかもしれない。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事