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2021.06.10 07:30

経営の伴走者として新たな理想像──GCP Xチームヘッド 小野壮彦

DX JAPAN代表 植野大輔(左)とグロービス・キャピタル・パートナーズ「GCP X」ヘッド 小野壮彦(右)

DX JAPAN代表 植野大輔(左)とグロービス・キャピタル・パートナーズ「GCP X」ヘッド 小野壮彦(右)

CxO(シーエックスオー)は、トップであるCEOを組織の要として支えるスペシャリストたち。CCO、CFO、CIO、CLO、CMO、COO、CSO、CTO……こうした役職に必要な能力と条件、その立場から得られる知見とは?ローソンとファミリーマートのデジタル戦略を担った「コンビニの改革者」の植野大輔が、注目の人物にインタビューするシリーズ。

Jリーグ クラブチームの経営強化全般から、ヘッドハンター、ZOZOSUIT開発まで。濃い経験をした元起業家を迎えてのCxO論。


植野大輔(以下、植野):起業とコンサルティングの経験がある小野さんは、一方で経営者の参謀、そしてVCへと転じました。まず、GCP Xとはどういう組織ですか?

小野壮彦(以下、小野):投資先を「育てる」ことに特化したチームです。VCのハンズオンモデルでは、探して、投資して、育てて、エグジットするまでキャピタリストが一気通貫で完結させました。でも、ファンドが大型化したいまは目利き力だけでなく、育てる力でリターンを大きくすることが求められます。

まず経営者のリーダーシップを引き上げる。コーチングやメンタリング、ときに「それで本当に満足か」と焚きつけます。それから、CxO(*1)となれる人材で経営陣を強化する。さらに、オペレーションの飛躍的な強化。これらを株主の立場でやれるので、より本質的なことに集中できるんです。

*1 経営層のこと。冒頭に出したCxOの一例は、CCO(最高顧客責任者/最高クリエイティブ責任者)、CFO(最高財務責任者/最高未来責任者)、CIO(最高投資責任者/最高情報責任者)、CLO(最高法務責任者)、CMO(最高マーケティング責任者/最高マネジメント責任者)、COO(最高執行責任者)、CSO(最高戦略責任者)、CTO(最高技術責任者)。英語の略称であるため、組織によって意味や日本語の肩書は異なる。

植野:コンサルティングフィーではなく、将来のリターンを一緒に目指すのは、まさにWin-Win。経営の伴走者として新たな理想像です。

小野:世界的に起業家のレベルが上がりました。彼らに選ばれないとVCもホームランが出ない。「うちは育てる力も抜群」と言えるようになるのが当面のミッションです。僕が任された理由は起業経験があり、コンサルと経営でハイブリッドのキャリアを歩んだから。三木谷(浩史)さんや前澤(友作)さんの下で事業をやったので、経営者の凄みを肌で感じました。植野さんはどんなリーダーを見てきましたか?

植野:ローソンでは三菱商事の大先輩の新浪剛史さん(*2)が44歳で社長になりました。「商社に入ったら、あんな大きな会社の経営をやれるんだ」と自分のロールモデルに据えたんです。でも、大組織の中で普通にやっていても、同じ年であのポジションに行けない。どこかで勝負しなければ、と。

*2 サントリーホールディングス代表取締役社長。1959年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、ハーバード大学経営大学院修了。三菱商事を経て、ローソン代表取締役社長兼CEO、同会長。2014年より現職。

小野:新浪さんのような本物のリーダーの下でDXの先駆けとなる経験をしたのは強い。商社は最初から現場に飛び込めてダイナミックにお金が動く世界も見られるから、ビジネスマンの加速育成装置として最高の環境です。みんな英語ができ、海外感覚もある。でも、30代半ばぐらいで囲われてしまい、そこから出てきません。
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文=神吉弘邦 写真=川合穂波

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