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2021.06.11

習近平の一声で崩壊寸前、「中国オンライン教育業界」の苦境

「ニューオリエンタル・エデュケーション(新東方教育科技)」創業者のMichael Minhong Yu(Photo by VCG/VCG via Getty Images)


習近平の一声がきっかけ


これは、習近平国家主席が5月に発表した「学生の負担を軽減し、放課後の家庭教師サービスの規制を強化する」という方針に従ったものだ。

「これらの措置は、規制当局が教育業界を是正しようとしていることを明確に示している」と、ブルーロータス・キャピタルは述べている。

TAL エデュケーションとニューオリエンタル社は、この件に関するコメントを控えている。Gaotu社の広報担当者は、3歳から8歳までの子どもたちへの授業の提供を停止すると述べた。中国のニュースサイト36krは、Gaotuが人員削減に乗り出し、全従業員の3分の1が影響を受ける可能性があると報じている。

Gaotuは、他の教育企業の中で最も激しい株価の下落に襲われているが、ここには同社の出資元のアルケゴス・キャピタルが破綻した影響が含まれている。同社の最大の外部投資家の一人であったビル・ホワンが経営するヘッジファンドのアルケゴスは、マージンコールを満たせずに破綻した。これを受けて3月26日にGSXの株価は58%も急落した。

さらに、Gaotuは複数の空売り筋の標的となっており、Grizzly Research社は同社を詐欺企業と表現している。

香港を拠点とするチャイナ・マーチャンツ・セキュリティーズのアナリストは、中国の教育企業が、さらなる政策的リスクに直面すると述べている。現地メディアは先月から、規制当局が家庭教師会社に対し、週末や夏休み、冬休みの授業の提供を禁止する可能性があると報じている。

ブルーロータスは、政府が放課後の家庭教師を完全に禁止することは望んでいないと述べつつも、杭州市の取り締まりの厳しさを指摘した。先月、杭州市の当局は、小学3年生以下の生徒に週末に家庭教師サービスを提供することを禁止した。

「この業界は急成長から停滞期に入った」とブルーロータスは指摘した。「投資家はもはや、教育関連企業をハイテク企業のようには考えていない。爆発的な成長はもう期待できない」と、同社のアナリストは述べた。

編集=上田裕資

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