コロナ対策で支給された3回の給付金、米国人はどう使ったか

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所得水準別の使い道


1回目、2回目、3回目の給付金を受け取った世帯の割合は、推定で85%だ。景気刺激策としての給付金の対象は低所得世帯と中所得世帯で、個人年収が7万5000ドルを超える成人の場合は給付額が段階的に減額された。

個人年収によって、給付金の使い道は異なっている。1回目の給付金については、どの年収レベルでも、消費に充てた傾向が強かった。しかし、所得が高めの人は貯蓄に回しがちで、その傾向は2回目と3回目で特に強くなった。

たとえば、年収が15万ドルを超える世帯では、給付金を生活費に充てずに、貯蓄するか、ローン返済に充てる傾向がみられた。低所得世帯と中所得世帯の場合は、パンデミックをめぐる不確実さから、給付金を貯蓄やローン返済にすぐに回すことを躊躇したのではないかというのが、ピーター・G・ピーターソン財団の研究者の見方だ。

現金給付で経済効果は得られたのか


現金給付が実際にどのくらい景気を刺激したのかについて、同財団の研究では結論が出されていない。とはいえ、個人レベルでの収入・消費・貯蓄の増加と経済成長に「ひと役買った」と言えるかもしれない。

米議会予算局(CBO)の推定では、1回目のCARES法による現金給付で、国内総生産は0.6%押し上げられた。比較すると、失業給付金の拡充による押し上げは1.1%、中小企業向け給与保護プログラム(PPP)による効果は0.8%だった。

4回目の現金給付はあるのか


4回目の現金給付については、ないと言ってほぼ間違いないだろう。それには多くの理由がある。たとえば、ジョー・バイデン大統領は4回目の給付金を支持していない。それよりも、新しいインフラ投資法案の可決に力を入れているからだ。この新法案には現金給付は含まれておらず、米議会がさらなる現金給付を加える見込みはあまりない。

それでも、80人を超える民主党議員たちからは、パンデミックが終息するまで米国民に毎月2000ドルを給付すべきだという声が上がっている。その理由として、新型コロナの拡大で困窮する国民の大半にとっては、一時的な給付金を3回支給した程度では十分でないことを挙げている。さらに、給付金をもう1回支給すれば、1200万人が貧困に陥らずに済む可能性があると訴えている。

こうした強い呼びかけがあるにもかかわらず、バイデン大統領は支給することに同意していない。また、共和党だけでなく民主党からも、毎月2000ドルの給付金支給を盛り込んだ法案を可決できるだけの票が集まる見込みはない。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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