ビジネス

2021.06.07

イーロン・マスクが熱望する「イーサリアムとドージの結合」

イーロン・マスク(Getty Images)

テスラのイーロン・マスクは今年、ビットコインの価格を史上最高値に押し上げた後、このコインを見捨てて、イーサリアムとドージコインの支持に回っている。

マスクは6月5日、AI研究者でポッドキャスターのレックス・フリードマン(Lex Fridman)がイーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリンに対して行ったインタビュー動画のツイートに対して、「私はヴィタリックと同じ意見だ」と投稿した。

フリードマンは、マスクが以前提案したように、ドージコインをアップグレードして「ビットコインに圧勝する」ことが可能かどうかをブテリンに尋ねた。「もしドージが、イーサリアムにブリッジして、人々が1秒間に何千回もドージを取引できるようになったら、すごいことになる」とブテリンは答えた。

フリードマンはさらに、イーロン・マスクのような人物がもたらしたパワーと勢いを利用して、イーサリアムを向上させる方法はないのかと訪ねた。

この質問にブテリンは、「ドージからイーサリアムへのブリッジがセキュアにできるようになったとしたら、それは素晴らしい。さらに、イーサリアムのスケーラビリティが向上すれば、ドージをラッピングして、非常に低い手数料で高速な取引が可能になるだろう」と述べた。

時価総額でビットコインに次ぐ規模の暗号通貨であるイーサリアムは、昨年末、取引手数料の引き下げと、トラフィックの高速化が期待できる待望のアップグレードを開始した。しかし、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)メカニズムで稼働するイーサリアム2.0が、完成するのは今から数年先のこととされ、その間に新たなライバルたちに市場を奪われる可能性がある。

先月、マスクは、ドージコインが「地球の通貨」になるためには、「スピードアップ」と手数料の引き下げが必要だと述べていた。彼の発言は、かつてビットコインのコミュニティ内部で起きた対立の結果、2017年に決済スピードを向上させた新たなコインの「ビットコインキャッシュ」が誕生したことを思い起こさせた。

マスクの後押しを受けたドージコインの価格は今年に入り数千パーセントも上昇し、時価総額は500億ドルに迫る勢いだ。しかし、ブテリンは、マスクのドージコインに関するコメントを、あまり真剣に捉えるべきではないとも述べている。「イーロンは、私が犬好きであるのと同様に、犬が好きなのだ」と彼は話した。

来年初めに、スペースXの「DOGE-1ミッション」で、月面にドージコインを置く予定だと発言しているマスクは今年、ビットコインと暗号通貨の価格を乱高下させた。彼は先月、「私はこれまでドージを売却していないし、今後も保有しつづける」とツイートした。

マスクが率いるテスラは今年2月、15億ドル相当のビットコインを購入したと発表し、ビットコインの価格を急上昇させた。その後、ビットコインによる支払いを受け入れると宣言したことで、ビットコインの価格はさらに上昇した。しかし、マスクはその後、ビットコインの二酸化炭素排出量が大きいことを理由に支持を撤回していた。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事