サービスを手がけるのは、タクシーアプリなどを展開するソニーグループのS.RIDEと、モビリティメディア「GROWTH」を運営するニューテクノロジー。「THE TOKYO MOBILITY GALLERY Canvas(Canvas)」と銘打ち、乗客のいない空車時間を利用し、タクシーを広告媒体として活用する。
当初は2020年の東京五輪に合わせてリリースする予定だったが、延期されたため、1年遅れての実現となった。
「東京に新たなギャラリーを」
「Canvas」は、車窓型サイネージを提供する国内初のサービスで、「東京に新たなギャラリーを」というコンセプトで始まった。広告が映し出されるスクリーンは、AGCが独自開発したもので、タクシー左後方部のサイドガラスに表示される。
サイネージが設置されるのは、国際自動車と大和自動車交通の2社のタクシーで、渋谷や新宿、東京駅など、人通りの多い繁華街からビジネスエリアまでを走行する。
目線の高さという視認性や、車両が連続して停車した際の視覚的効果が期待される。BtoB企業や映画、VODサービスの広告掲載が予定されており、6月はすでに広告枠が埋まっているという。
一般人が参加できる「ファン広告プロジェクト」も始まった。Canvasを提供する2社に、マクアケが参加して開始したもので、ファンが個人や団体を支援できるようになる。
芸能事務所やイベントオーナー等の実行者が「Makuake」にプロジェクトを掲載し、ファンが参加・応援購入すると、メッセージがタクシーの車窓に映し出される。
22年度中に3000台へ
タクシーの可能性には、ニューステクノロジーの代表取締役三浦純揮氏も期待を寄せる。
同社が運営する「GROWTH」は都内約1万3000台のタクシーと連携し、車内の後部座席に設置したタブレットでコンテンツを配信している。三浦氏は、「今回は空車時間に対してプロダクトを作っているが、移動する1.3万台は、まだ使い方がたくさんある」と話した。
将来的には位置情報などのデータと連携し、場所や時間に最適化した広告を表示することも目指している。
今回の取り組みは、100台からスタートしたが、2022年度中には3000台まで搭載台数を増やすという。三浦氏は、「3000台くらいの規模でCanvasを設置できれば、見かけない日がほぼなくなるのでは」と話した。