日本一安全なスバル・レヴォーグで理解する、恐怖の後部座席

日本人はなぜか後部座席のシートベルトをかけたがらない。実はJAFの調べでは、なんと60%の後部座席同乗者はシートベルトをかけていないという。また、そのほとんどは子供だという。元々、先進国の中で最も出生率の低い日本の親たちが、どうして大事な子供をシートベルト非着用で乗せられるか、不思議でたまらない。

この事実にスポットを当てたのは、先月発表されたスバル・レヴォーグの「衝突実験の結果映像」だ。レヴォーグは、なんと日本一安全なクルマと評価された。詳しく言うと、レヴォーグはJNCAPの5つ星の評価を得て、国内最高評価を獲得したのだ。

衝突実験しているレヴォーグ

JNCAPは「自動車の安全性能を比較評価する自動車アセスメント」。その自動車安全性能2020ファイブスター(五つ星)大賞を受賞したのが、レヴォーグだ。同車の前面、側面、後面全ての衝突安全性能を大幅に向上させたのが、スバル・グローバル・プラットフォーム。もちろん、SRSエアバッグはついているけど、カーテンエアバッグも、下肢へのダメージを軽減する運転席 SRS ニーエアバッグ、歩行者保護エアバッグをも全車標準装装備とした。「予防安全性能」では、視野を大幅に広げた新開発のステレオカメラ(アイサイト)に加えて、前後4つのレーダーを組み合わせることで360度センシングを実現した新世代アイサイトも全車標準装備。

ということで、レヴォーグは日本一安全なクルマとして高く評されたわけだけど、僕が注目したいのは、後部座席の事情。「えっ、私は自分の子供にちゃんとシートベルトをかけている」と言い切るドライバーもいるだろう。でも、もう一回いうけど、JAFの調べでは、60%の後部座席同乗者はシートベルトをかけていない。つまり、5人に3人はドライバーとして自分は毎回シートベルトをかけても、後部座席に乗せる子供にはかけなくていいと誤解している人がいるということ。これは恐ろしいとしか言いようがない。

後部座席の人が飛び出る様子

僕の母国オーストラリアや英国では、後部座席でのシートベルト着用率は98%以上になっているので、日本のリザルトに驚いた。オーストラリアの親のほぼ100%は、子供には必ずチャイルドシートなどを使っている。シートベルトをかけないで警察に捕まると、オーストラリアでは、5万円の反則金で4点の原点。また英国では7万円の反則金で、3点の原点。僕が調べた限り、日本は原点は1点で、反則金はなし! ハ?! お咎め無しってどういうことですか。

完全に飛び出た様子

今回の衝突実験では、後部座席に座ったダミー人形の動きが一番興味深い映像だった。シートベルトをかけたダミー人形と、非着用のが後部座席に座っていたけど、かけていない方の動きと結果は恐ろしい限りだ。シートベルト着用のダミーは、そのまま保護されているけど、非着用のダミーはおよそ60km/hの速度で、まず前の席にぶつかり、そのまま飛んでセンターコンソールのナビ画面に頭を強く突っ込むと同時に、その勢いで腰を天井に激しくぶつける。そのダミー人形が自分の子供だと考えると、恐ろしくて考えられない。それだけ、一発で頭と腰をぶつけると、死亡はしなくても、全身麻痺になる可能性が強い。

それでも、僕は都内の道路を走っていると、シートベルト不着用の子供をしょっちゅう見かける。大切な子供にママチャリ用のヘルメットは被らせるにもかかわらず、クルマの後部座席に乗せる時は、シートベルトをかけないのはなぜだ。やはり、警察は不着用に対する反則金や原点をもっと上げるしかないだろう。

ということで、元々出産率の低い日本だからこそ、生まれてくる子供を大切にするのに、必ずシートベルトをかけてあげよう。そして、日本一の安全な車に乗りたければ、昨年の最優秀車賞「日本COTY賞」を獲得したレヴォーグを検討してみてはいかが。



国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら

 

文=ピーターライオン

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