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Getty Images

コロナ収束後を見据え、観光需要を取り逃がすまいと、国内の航空大手は格安航空(LCC)事業に力を入れ始めている。国内や近場の海外だけでなく、中長距離を目指すエアラインも登場するほど、情勢は変化している。

国内のLCC市場は今後どう動くのか? 海外事情を交え、航空ジャーナリストの北島幸司氏が解説する。

大手傘下が生き残る日本


日本でLCCが誕生して9年。市場には3社のLCCが残った。全日空(ANA)系のピーチ・アビエーション、日本航空(JAL)系ではジェットスター・ジャパンと春秋航空日本だ。この間、ピーチに吸収されたバニラエアとエアアジア・ジャパンは市場から消えた。日本のLCCは、大手エアラインの傘下で生き残っていくと言える。 

視野を世界に広げると、その動きは日本と異なる。大手エアライングループのLCCはことごとく撤退した。ブリティッシュ・エアウェイズなどを傘下に置くIAGはLEVEL(レベル)を、エールフランス-KLMはJOON(ジュン)を、それぞれ発足させたが、すべてサービスを終了させている。

生き残るLCCは独立系だ。例えば米サウスウェスト航空はその一例で、世界最大のLCCとして不動の地位を確立している。今年6月に就航50周年を迎える。また、同社に輸送力が肉薄するアイルランドのライアンエア、英国のイージージェットなども独立系航空会社として挙げられる。

世界のLCC市場は円熟の域に達している。

一方で、日本のマーケットはまだ発展の段階にある。 

日本のLCCは、大いなる可能性を秘めていて、別の見方ではガラパゴス状態とも言える。日本で最大となったピーチは、スカイマークを抜いた。エアラインの輸送実績を表す有償旅客キロ(RPK)ではANA、JALに次ぐ国内第3位になるほど、その存在感を増している。 

国内LCC、コロナの影響は


予想もしなかったコロナの発生がLCC業界に与えた影響は大きなものがあった。

ANA、JAL両社が掲げるコロナ禍の経営計画は、LCC拡大戦略に重きを置いている。回復が遅いと思われる国際線のビジネス需要の鈍化分を国内のレジャー需要で補おうというのだ。

その様子は、ANAの数字から読み取ることができる。同社のLCC=ピーチを連結決算に組み込んだANA本体の、1年間の動向をグラフ化した。上3行がANA、下3行がピーチだ。

航空業界決算
※ANA/JALの2021年3月期決算短信より筆者作成

まず売り上げでは、ANA本体は前年の30%と、ピーチの27%に比べ、減少率は小さい。しかし、旅客数とRPKの減少率では、ピーチが低く抑えている。

コロナ禍が輸送量に与えた影響は、「ピーチの方が軽く済んだ」ということになる。

JALについても読み解きたいが、分析をすることはできない。LCCのZIPAIR Tokyoを連結決算に組み入れているが、運航開始は2020年であるため、比較対象とはならない。ピーチと肩を並べる規模のジェットスター・ジャパンについても、カンタス航空傘下のジェットスターグループの決算しか出ておらず、JALの連結子会社として決算に組み込まれるのはこれからだ。

文=北島幸司 編集=露原直人

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