ビジネス

2021.06.05

【独占寄稿】Box創業者が経験から語る「起業の秘訣」

Box共同創業者兼CEOのアーロン・レヴィ


スタートアップとして成功する秘訣


まだ小さなスタートアップだった段階で学んだことで、成長するにつれて役立ったことはじつは結構ある。ボックスでは、顧客から電話があった10分後に問題を解決する機能を構築した。そのノウハウを2000人規模の会社にスケールアップするにはどうすればいいか? それこそが永遠の課題だ。

他社から学べることも多い。従業員に帰属意識をもたせ、一つひとつのチームを少数精鋭のまま、500以上ものチームに束ね、それをなおかつ会社の目標に向けて動かすにはどうすべきか? 

従業員全員の力を生かしつつ、会社の規模が足かせにならないよう、各々の役割を分散させることでより速く業務に対応する──。これができれば、会社としては理想的だ。自律した少人数のチームが日々、業務を改善していく文化は、ソフトウェア開発の現場から生まれた。ソフトウェア企業はすべて、この基盤の上で成り立っている。

問題は、これが製薬会社の人事部や、消費財メーカーの商品デザインチームにも同じように適用できるかどうか、だ。我々は、その答えが「イエス」だと信じている。

その理由は、ビジネスの変化のスピードが、 IT企業であろうとメーカーであろうと、企業のすべてが同じ速度で動くことを求められているからだ。だからこそ、本当の挑戦は、これを2000人規模ではなく、IT企業ではない10万人規模の会社でできるかどうか、である。

過去100年〜150年も続いてきた、階層型のマネジメントやトップダウン式の指揮系統、ウォーターフォール型の製品開発に終止符を打ち、よりフラットで開かれた、透明性の高い組織へ移行しなくてはいけない。企業の多くはようやく、そのことに気づきつつあるのだ。

日本の読者へのメッセージ


日本の市場にとって今ほど、デジタル・トランスフォーメーションに移行するのに適した時期はないだろう。新型コロナウイルス・パンデミックと2020年東京夏季五輪は、従来型のビジネスモデルを革新する打ってつけの機会に間違いない。新しい働き方への移行は、真に世界的な潮流だ。

中小企業からグローバル企業にいたるまで組織の規模に関係なく、ITに関してもユーザーである社員の目線で考え、それに即した新しいツールを自社に取り入れてほしい。

文=アーロン・レヴィ 写真=ボックス提供 編集=フォーブス ジャパン編集部

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