中国がウイグル問題で報復、ナイキなどの子供服を輸入停止へ

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中国政府は、ナイキやH&M、ZARAなどの大手アパレルブランドが、子どもの健康に害を与える可能性のある商品を販売していると非難している。この動きは、数カ月前にこれらの企業の新疆ウイグル自治区での人権侵害疑惑に関する発言が、中国国内で反発を受けたことに続くものだ。

中国の税関当局は6月1日、ナイキやH&M、ZARA、GAPなどの企業が輸入した商品のリストをウェブサイトに掲載し、警告を行った。

税関当局は、H&Mの女児用コットンドレスに「染料または有害物質」が含まれており、これが体内に吸収され子どもの健康を脅かす可能性があると主張している。中国は、ZARAやナイキ、GAPが輸入した子供服についても同様の主張をしている。

当局は、今回の調査結果は同国の商品検査法に基づく定期的調査の一環であり、問題の商品は法律に基づいて廃棄・返却されると述べている。

中国はその理由を明らかにしていないが、今回の措置は、これらのブランドが過去に、人権侵害の懸念の高まりの中で、新疆ウイグル自治区から綿花を調達しないと発言したことに対する反発の継続だと考えられる。

ブランド側は、中国からの指摘についていかなる公式声明も出していない。

世界自然保護基金(WWF)が運営し、ナイキやH&M、ZARAなどのブランドが加盟するサステナビリティプログラム「ベター・コットン・イニシアティブ(BCI)」は昨年3月、新疆ウイグル自治区で生産された綿花のライセンス認証を停止すると宣言した。さらに、10月には同自治区でのフィールドレベルの活動の中止を宣言していた。その後、これらの声明はウェブサイトから削除されていた。

しかし、今年3月に中国の国営メディアの報道を受けて、SNSのユーザーらが欧米ブランドのボイコットを呼びかけ始め、そこにはコンバースやアディダス、バーバリーなど他のBCIの加盟ブランドが含まれていた。

海外ブランドに対する「報復」


政府系メディアの人民日報は、H&Mなどのブランドが「数十億の中国国民の声」ではなく、「少数の人々が流す嘘」を信じることを選んだと、怒りをあらわにした。JD.comやPinduoduo、アリババ傘下のタオバオなど、中国の主要なEコマースプラットフォームは、これらのブランドの多くをオンラインストアから削除した。

H&Mの実店舗は営業を続けているが、BBCの報道によると、中国のタクシー会社のアプリから店舗の場所が削除されたという。

BCIは昨年、新疆ウイグル自治区の綿花に関する声明を発表したが、これらのブランドに対する反発は、中国が新疆ウイグル自治区での人権侵害の疑いで国際的な非難を受け始めてから始まった。今年初めには、米国、英国、カナダ、EUを含む複数の西側諸国が、この問題に関して中国の政府関係者に制裁を科していた。

中国は、流出した内部文書や衛星画像によると、この地域の主にイスラム教徒であるウイグル人を収容所に拘束し、拷問や強制労働、性的虐待を行っているとされ、それを非難されている。中国はこれに対し、西側の政府関係者に独自の制裁措置を講じ、虐待の疑いを否定し、収容所はテロ対策のための「再教育」施設であると主張している。

編集=上田裕資

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