イタリアでこのたび、新たな移住促進の試みが登場した。以前にも、外国人に住宅を1ユーロ(約130円)で販売するキャンペーンが行われたが、この住宅は多くの時間と資金をかけて改装する必要があった。
今回の誘致策を打ち出したのは、イタリアでも特に美しい村の一つであるトスカーナ州サンタフィオーラ。村に移住し、長期的に遠隔勤務をする人の賃料を最大50%肩代わりするとしている。住民になって子どもをもうけたり、ホテルを開業したりすれば、さらに追加の支援金が支払われる。
イタリアでは昨年、サント・ステファノ・ディ・セッサーニオ村が、移住して働く人に最大5万2500ドル(約580万円)の補助金を出すと発表。米国でも、各地の州や地域・都市が、移住し遠隔で働く人に多額の補助金を出している。
サンタフィオーラは、トスカーナ州中部の山岳部にあり、クリの木の森や滝に囲まれ、中世の建物が立ち並ぶ村だ。世界の他の地域では、地元住民が外国人の移住に反発したところもあったが、サンタフィオーラは外国人の移住を歓迎している。
村長のフェデリコ・バロッキは米CNNテレビに対し「人々が村に移住し、村から遠隔勤務するよう促すことが目標だ」と説明。「サンタフィオーラを、そうした人々のための柔軟なオフィスにしたい。若者が仕事を探しに村を出るたび、村の一部が失われている」と語った。
サンタフィオーラに移住する遠隔勤務者は、2~6カ月の滞在を条件に、最大200ユーロ(約2万7000円)、あるいは家賃の最大50%の補助を受けられる。あまり大した額に感じられないかもしれないが、村の家賃平均が300~500ユーロ(約4万~6万7000円)であることを考えれば、家賃をわずか100ユーロ(約1万3000円)に抑えられるかもしれない。家賃補助を受けるには遠隔勤務の仕事があることを証明しなければならないが、職種は問わないという。
トスカーナ州サンタフィオーラ(Getty Images)
さらに、サンタフィオーラに残って民宿を開業したり、古い建物をホテルに改装したりすれば、村から3万ユーロ(約400万円)の補助が出る。また、住民になって子どもをもうければ、1人生まれるごとに1500ドル(約20万円)の補助金が出る。