だが、メンタルヘルスケアの重要性がこれまでにないほど鮮明になっているにもかかわらず、大多数の人は治療を受けようとしていない。オーストラリア西部パースにあるエディスコーワン大学の研究チームが最近実施した調査は、そうした状況を明らかにしている。
米国、ヨーロッパ、オーストラリアの1008人を対象としたこの調査では、回答者の半数以上(54%)が、自分のメンタルヘルス状態を「まあまあ」もしくは「悪い」と評価した。パンデミック勃発以降にメンタルヘルスが悪化したと回答した人は半数近く(44%)にのぼる。とりわけ、女性(48%)とミレニアル世代(45%)でメンタルヘルスへの悪影響を訴える人の割合が高かった。
メンタルヘルスの問題を経験する人が増えているにもかかわらず、回答者の55%は、治療を受けようとしたことがないと回答した 。メンタルヘルスの状態を「悪い」と評価した人でも、この割合は39%にのぼった。
およそ5人に1人(18%)は、自分のメンタルヘルスへの対応は最優先事項だと答えているが、このグループでも、メンタルヘルスの専門サービスを受けようとする人は44%にとどまった。
回答者の38%は、メンタルヘルスの治療を受けようとしない理由として、自分のメンタルヘルスの問題が治療を受けるほど深刻だとは思っていないことを挙げている。この意見がもっとも多かったのは、ベビーブーマー世代(56%)とZ世代(43%)の回答者だった。
専門家の助けを求めるのを阻む障壁として、2番目に多かったのが費用だ。回答者全体の36%(Z世代では41%)は、メンタルヘルス関連の治療費用が高すぎることを理由に挙げている。
回答者の3分の1近く(32%)は、治療を受けないのは忙しすぎるからだと回答している。この回答は、男性(29%)よりも女性(36%)に偏っていた。メンタルヘルス専門家の助けを求めない理由として「気が進まない」ことを挙げる割合も、男性(17%)より女性(24%)のほうが多かった。