ビジネス

2021.06.10

3万円台のクラシック腕時計を誕生させた「カル・レイモン」の美学

CLASSIC PIONEER Stainless Steel with Black Dial ¥34,100、CLASSIC PIONEER Stainless Steel with White Dial ¥34,100


「Back to Classic」「一部の人に限らない高級腕時計を」という想いは、彼らの想像以上に多くの人に支持され、米国・日本で合計3回のクラウドファンディングにより約2700万円の調達に成功。



3万円台のプライスゾーンでムーンフェイズを搭載した腕時計は多くの若者たちの元へ届けられ、ファッション誌や時計専門誌で好意的に評された。

ただ、その時計を造り出すまでの道は平坦ではなかった。

海外からの留学生であり、経済と哲学を学んでいたKとLにとって時計業界とのコネクションはゼロに等しく、生産ラインの確保は苦難の連続だったという。

最初は門前払いをくらった工場へなんども足を運び、長野県で1967年に創業した精密機械加工・組み立ての工場と契約。

2018年、「カル・レイモン」は名実ともにメイド・イン・ジャパンの時計ブランドとして一歩を踏み出した。


1980年から本格的に時計事業に参入した、長野県にある創業1967年の精密機械加工・組立の製造工場。

彼らがクラシックであることにこだわるのはなぜか。

Kは「クラシックであることがデザイン性の頂点だ」と語る。

誕生から数百年もの時間による洗礼を受け、現代に残るものこそが確固たる美だと。

そしてムーンフェイズを採用したことについて、Lは学生時代に天文部に所属していたと明かしながら、手元に小さな宇宙を持つことのロマンについて語ってくれた。

実際に「カル・レイモン」の腕時計を手にしてみれば、ゆるぎない美意識と小宇宙とを我がものにしているという自信に、そっと背中を押されているように思えるだろう。

クラシックであるということは古びることのない、エターナルなエレガンスだ。

それを手に入れやすい価格で実現させ、いわば“アフォーダブル・クラシック”とでもいうべき新境地を誕生させたふたりの情熱と革新性に拍手を送りたい。

Text by Miyako Akiyama

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