「フレッシュマン10」というのは、米国で多くの大学生が1年目に体重が10ポンド(約4.5キロ)ほど増えることを指す言葉だが、最近は「コロナ15」という言い方も登場している。パンデミック中、米国の成人は15ポンド(約6.8キロ)ほど太っているという意味だ。
Noomの減量アプリはこうした状況から恩恵を受けている。2020年の売上高は4億ドル(約440億円)と前年からほぼ倍増し、年末年始シーズンには登録者数が過去最高に達した。新規登録者数はパンデミックが始まった昨年春に増加したが、ロックダウン(閉鎖措置)が終わりに近づいた今年春もなお同水準の伸びだった。
Noomの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のチョン・セジュは筆者の取材に、「当社のビジネスはパンデミックの前から成長しており、引き続き成長しています」と説明。「新型コロナによって健康にあらためて関心が向けられるようになりました。自信を取り戻したい、より健康になりたい、ロックダウン中に失っていた良い習慣をつくり直したい、といった理由から登録するユーザーが増えています」と述べている。
Noomは健康やウェルネスに対して心理学に基づくアプローチをとり、行動変容の促進やテクノロジーの活用によって長期的にポジティブな健康状態を生み出すことをめざしている。10年以上にわたって研究を続け、これまでに消費者重視のプラットフォームや看板の減量プログラムをはじめ、革新的な製品を開発している。
同社によると、新たに調達した資金は、ストレスや不安、糖尿病、高血圧、眠りの質など、心身のさまざまな問題に幅広く対応できるよう行動変容プラットフォームを拡大することなどに使う予定。一部は自社株買いにも充てる計画だという。
チョンは今回の資金調達について、行動変容を通じた健康増進をめぐるビジネスの構築でNoomがもつ、「非常に大きなチャンス」に対する投資家の信頼を反映したものだと語った。
このラウンドにはシルバーレイクのほか、米オークHC/FT、米RRE、米セコイア・キャピタル、シンガポールのテマセク、デンマークのノボ・ホールディングス、韓国のサムスン・ベンチャーズが参加した。