「ご存じの通り、スイスには秘密主義の会社が多い(笑)。しかし今回は、各社にもお願いして、さまざまな技術を開示しました。技術を独占すれば、いくばくかのお金はもうかるかもしれません。しかし私たちは情報を共有し、海洋環境の保護活動に役立てることのほうが重要だと思っています。海洋環境汚染はタイムリミットが迫っていますから、他社が同じプロセスを踏んで時間をロスしないように、すべてを公開してスピードアップしたいのです」
さらにパネライでは、ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)とパートナーシップも締結。100を超える世界の教育機関をサポートして海洋科学についての知見を深め、さらにはクラシックヨットのアイリーン号を使った海洋保護活動に関する学術イベントも予定しているという。
「特に若い世代は、自然や海洋環境に対する問題意識が高い。サステナブルな社会を目指すために、いまのパネライができることを考えていきたいですね」
高級時計は自分の気持ちを高めてくれるものだが、同時に社会問題との接点にもなる。そういう目線で時計を選ぶのも面白いのではないだろうか。
重量の98.6%をリサイクルベースの素材が占める「サブマーシブル eLAB-ID」。針やサファイアクリスタル製の風防などもリサイクル素材でつくられる。世界限定20本。7,458,000円(2022年発売予定)
Jean-Marc Pontroué◎フランス出身。ビジネススクールを卒業後、ファッション業界でキャリアを積む。2000年にモンブランの副社長に抜擢され、製品のリブランディングを担当。2012年にロジェ・デュブイのCEOに就任。そして2018年から、カリスマ経営者として知られたアンジェロ・ボナーティの後任としてパネライのCEOに就任する。