そんな中、ウェストバージニア州は独自のインセンティブを用意し、接種者を対象とした抽選で、各5丁の狩猟用ライフルとショットガンをプレゼントする。抽選は6月20日の父の日から始まり、8月4日までの間、毎週実施される。ワクチンを1回以上接種したウェストバージニア州の住民は誰でも応募可能となっている。
また、この抽選会では、他の州と同様に住民1名に100万ドルが与えられるほか、大学関連の費用のすべてをカバーするフルライド奨学金や、狩猟や釣りのライセンスなどの賞品も用意されている。さらに、16歳以上35歳以下のワクチンを接種をした人全員に100ドルのギフトカードや貯蓄債券が配られる。
ウェストバージニア州の保健局によると、これまでにワクチンを少なくとも1回接種した人の割合は51.1%で、約91万5000人とされている。さらに、2回の接種を完了した人の割合は41.2%という。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)が集計したデータによると、ウェストバージニア州のワクチン接種率は全米で最も低く、ワクチン接種をためらう割合が高い。3月20日から4月19日の間に行われたモーニング・コンサルの世論調査では、同州の住民の28%がワクチン接種に消極的で、全米のどの州よりも接種をためらう人が多かった。
ワクチン接種に銃関連のインセンティブを用意しているのはウェストバージニア州だけではない。イリノイ州は射撃場に移動式ワクチン接種場を設置し、そこで接種を行った人に無料で100枚の射撃ターゲットをプレゼントしている。
一方でニュージャージー州はビールの無料券、イリノイ州は遊園地の無料券を配っている。また、オハイオ州やオレゴン州は100万ドルが当たる現金くじを用意している。銃を景品として用意することで、他の層に比べてワクチン接種を拒否する傾向が強い共和党員の接種率の向上が期待されている。
インセンティブは実際に、接種率の向上に役立つことが示されている。オハイオ州の知事によると、宝くじによって接種率が45%上昇したという。