グーグルの新端末Pixel 6と真っ向勝負のサムスンの廉価モデル

Galaxy S20 FE(サムスン提供)

グーグルが昨年10月に発売した「Pixel 5」は、低価格で信頼性が高かったNexusシリーズを彷彿とさせる端末と言える。求めやすい価格と、マスクを外さなくても手軽にロック解除ができる指紋認証はパンデミック対応とも言え、高い評価を得た。

しかし、グーグルが予期しなかったのは、Pixel 5が発売される2週間前にサムスンが高機能なミッドレンジ端末をリリースしたことだ。さらにその3カ月後、サムスンは「Galaxy S21 Ultra」をリリースした。この端末は、次世代の光学ズーム技術と高性能ディスプレイを搭載し、筆者がこれまで使用した中で最高のスマートフォンの1つだと断言できる。

サムスンが今年リリースするとされるGalaxy S21シリーズの廉価版のFE(Fan Edition)には、リフレッシュレート120Hzの有機ELディスプレイとトリプルカメラが搭載される見通しで、グーグルにとって大きな脅威となりそうだ。

Pixel 5に代表されるように、グーグル製ハードウェアの主な強みは、競合にはないAIを使った機能の数々だ。例えば、「Hold For Me」機能を使えば、グーグルアシスタントがユーザーの代わりに保留待ちをし、相手が応答すると知らせてくれる。また、Adaptive Soundは、周囲の環境に合わせてスマートフォンのスピーカー音量を調整してくれるもので、この機能を理由にPixel端末を購入する人は多い。このようなAI(人工知能)技術によって、Pixelはサムスンやアップルなどの高機能端末に対して優位性を確保してきた。

しかし、状況は大きく変わり、ソフトウェアでハードウェアを補完するだけでは競合製品に対抗できなくなっている。グーグルは、競合他社が優れた製品を次々と開発する中、遅れをとってしまった。サムスンの光学10倍ズームレンズや、1億800万画素のイメージセンサー、有機ELディスプレイにグーグルのAIがどこまで対抗できるかは疑問だ。筆者は、S21 Ultraを数カ月間使用しているが、Pixel 5に戻ることは困難だと感じている。
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編集=上田裕資

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