そんななか、コロラド州のボンド・ペット・フーズ(Bond Pet Foods)と、イリノイ州シカゴを本拠とするビコーズ・アニマルズ(Because Animals.)は、細胞から培養された肉を使用したペットフードに活路を見いだしている。
両社は、家畜を傷つける必要がなく、ペットが食べても安全な製品を開発中であり、前者は2023年、後者は2022年までの発売を目指している。
ボンド・ペット・フーズの製品開発は、「インガ」という名前のめんどりから人道的な方法で血液サンプルを採取し、ここに含まれるニワトリのタンパク質の遺伝情報を解析するところからスタートした。次に、同社はバイオテクノロジーを活用し、発酵によって、菌類と動物に由来するタンパク質を培養した。これらのタンパク質を採取し、ペットフードの原材料として利用するわけだ。
このタンパク質には、猫と犬が必要とする必須アミノ酸がすべて含まれているため、ペットフードとして使うことが可能だという。ボンド・ペット・フーズの培養過程は、組織を採取した動物を傷つけることがない。サンプルの採取元となったニワトリのインガは、今でも農場で暮らしている。
一方、ビコーズ・アニマルズは、培養肉の製造に、ボンド・ペット・フーズとは異なる方法を採用している。こちらは、人道的な方法で採取した動物の細胞を、栄養分を含むタンパク質やミネラル成分、ビタミン、栄養素で満たされたバイオリアクターで培養する方法だ。
採取された細胞は、独自開発されたウシ胎児血清(FBS)の代替物の上で培養されるため、FBSを入手するために妊娠中のメスのウシを殺す必要もない。この細胞が組織にまで成長すると、同社はこれを採取し、肉としてペットフードに使用する。
代替肉への需要が増加するなかで、各社は、ペットフードをはじめとする多様な製品を提供し、製品ラインナップを拡大している。ペットが必要とする成分を与えながら、環境サステナビリティを推進し、温室効果ガスの排出量を削減できるという意味で、培養肉は大きな可能性を秘めている。