米国はその他の多くの富裕国と同様、ワクチン接種の推進を、パンデミックに伴う経済的・社会的な行動制限からの出口戦略と位置づけている。米疾病対策センター(CDC)は先ごろ、接種を完了した人の割合が高くなったことを理由に、マスク着用に関する指針を変更。接種を完了した人は屋内の公共の場で、マスクをせず、ソーシャルディスタンスを取らなくてもよいこととした。
複数の州当局はこれを受け、相次ぎマスク着用に関する規則を緩和している。だが、ワクチン接種率が頭打ちになる中、また一定の割合の人たちが接種を拒否し続ける中、そうした方針転換が今後の感染拡大の抑制において賢明なものであるのかどうか、疑問視する向きもある。
専門家や当局関係者らは、感染者が再び増加に転じる恐れがあるとして、国民には過度の安心感を持たないよう、当局には規制の解除を急がないよう、注意を促している。
また、米国では世論調査の結果から、ワクチン接種を受けた人より未接種の人の方が、パンデミック前の日常と同じように生活することへの安心感を持っていることが分かっている。この安心感が、行動規制の緩和を進める各州当局にとっての問題となる可能性もある。