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僕らが会社を設立した2012年になると、海外ではストリーミング(逐次再生の聴き放題)に徐々に移行していきましたが、日本はまだCDやダウンロードが主流。プラットフォームも少なくて、アーティストが楽曲を配信できたのは、iTunesやAmazon Musicくらいでした。

そして、「ストリーミング元年」と言われるのが2015、16年あたり。AWAやLINE MUSICなどが登場して、日本でも聴き放題サービスが本格的に普及し始め、2017年頃からはユーザー数も急速に拡大しました。僕らは2018年頃を「ストリーミング成長期」と捉えていて、TuneCore Japanというサービスへの手応えもこのあたりのタイミングで大きく変わったと感じます。

SNSを通じてアーティストや楽曲を知った視聴者が、ストリーミングサービスで検索して曲を聴く。その収益がアーティストにもきちんと還元される。ストリーミングサービスのユーザーの分母が増えて、こういった新しい仕組みがやっと機能し始めたのは、実はここ3年くらいのことなんです。

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Getty Images

──アーティスト側から見た場合、配信が主流になることによる変化はどのようなものがありますか?

配信が主流になっても、いきなりアーティストが直接iTunesなどに楽曲提供できるようになるわけではありません。ほとんどの配信ストアでは、アーティスト個人が直接、配信契約を結ぶことはできないんですよ。アーティストは、音楽事務所やレーベルを介さなければ、楽曲配信できない仕組みになっています。

つまり、ライブをやって、業界の誰かの目に止まって、事務所に所属して……という、売れるためのゲートをくぐり抜けたごくわずかな「選ばれたアーティスト」だけが、メジャーなプラットフォームを使える仕組みだった。それを変えるために始めたのが、アーティストの代わりに配信手続きを行うTuneCore Japanというサービスです。

僕はよく「音楽配信の民主化」という言葉を使うのですが、世界中の誰もが自分の楽曲を配信できるようにしたいと考えているんです。才能あるインディペンデントのアーティストたちが、メジャーアーティストと言われる人たちと同じ土俵で楽曲を配信し、正当な利益を受けることができる、そんな世の中を目指してやってきました。

さらに、楽曲の原盤権を譲渡しなければならない事務所やレーベルが多いなか、TuneCore Japanでは、原盤譲渡不要、配信収益の100%還元できるように最初から設計しています。

それでも、2012年の開始当初は「配信じゃ儲からない」と言われていました。ストリーミングの市場規模が小さかった頃は苦戦もしましたが、独立精神が旺盛なアーティストはすぐ使い始めてくれたんです。楽曲に自信のあるアーティストだったら、絶対に僕らのサービスを使ってくれるはずだという期待はありました。

それから9年たった今では、配信収益の還元額は、2020年度で71億円、累計だと171億円になりました。瑛人さんや川崎鷹也さん、Tani Yuukiさんなど、TuneCore Japanを使ってたくさんのアーティストが、みなさんを感動させている。新しい「売れ方」で、世に認められるアーティストが、まだまだたくさん出てきてほしいなと思っています。

構成=島田早紀、松崎美和子 写真=林直幸(メイン)

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