「神戸に稼げるアリーナを」民設プロジェクトの可能性と責任


街づくりの「中心」に稼げるアリーナを


アリーナ建設に関するプロフェッショナルな視点を取り入れるためにグローバルな協力体制も整えた。設計には2023年開業予定の北海道日本ハムファイターズの新ボールパーク、ES CON FIELD HOKKAIDOを担っているHKS社、そしてランドスケープデザイン(景観設計)には2019年サンフランシスコに完成したNBAゴールデンステート・ウォリアーズの本拠地チェイス・センターを担当していたSWAグループが加わる。これまで体育館より優れた施設を目指すというぼんやりとしていたイメージが国際的なアリーナ建設のプロフェショナルを加えることで学ぶことも多いと、渋谷氏はいう。

「緻密な設計、ビジネスとマネタイズ、価値の作り方がなんとなく箱を作れば良いという世界観とは全く違いました。歴史のあるベースの上で成り立っている彼らの知見だと感じました。」

スポーツとお金を同じ文脈で考えるのは、「悪」という体育的な考え方が日本にはどうしても残る。だが今後スポーツ業界を発展させていくためには、ビジネスとして捉えていくことが必須だ。もちろん、アリーナ運営に関しても同じことが言える。

「公設とは違い、民設のアリーナは運営会社が賃料を負担し続けなければならない。この賃料負担を負ってでも自由度を手に入れている。自由度をどれだけ価値に変え、それをお金に変えていくかの設計が問われる。」(渋谷氏)

アリーナ建設は1年、2年のプロジェクトではない。この先50年以上を見据えて、イノベーションを取り入れたデジタルな取り組み、さらに大きな枠組みでの街づくりの中にアリーナが存在する。自由度を踏まえてのマネタイズのモデル、副次的な地域の課題解決、そしてスマートバリューも目指す未来の1つである街づくりのビジネスそのものにもアリーナが大きな役割を果たしていく。


2028年に創業100年を迎えるスマートバリューが掲げる “Moonshot Vision”

ITを活用した街づくり、スマートシティはなんとなく実現させたいと思って出来るほど簡単な仕組みではない。社会実装をするためにはリスクを負ってでもスポーツ、共感性、人が集まる賑わい、アリーナというファシリティーが持つ全ての力を生み出さないことには一歩進むことは難しい。

神戸アリーナが描くのは、いずれ社会課題解決のイノベーションの聖地となること。神戸港が開港して150年以上経った今、新たな多文化共生の時代が新アリーナから開かれる未来がすぐそこまで来ている。


神戸アリーナコンセプトムービー


渋谷順◎スマートバリュー取締役代表執行役社長。創業93年目を迎えた三代目。1985年家業の町工場に入社し、1994年に社長であった父親の急逝に伴い30才で経営に参画。その後事業承継と業態転換を推進しつつ、現在は電子自治体への期待を実践するデジタルガバメント領域とコネクティッドカーに代表されるモビリティIoT領域のソリューションを中核として、幅広く公共財のプロフィットモデルにおける情報通信革命期の「まちづくり×ICT」の実現やスポーツやエンターテイメントなど体験や共感を育む意味的価値の創出を目指す。2015年6月東証JASDAQ上場。2018年6月には東証2部へ、同年12月に東証1部へ市場変更。

文=新川諒 編集=宇藤智子

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