ビジネス

2021.06.02

東証マザーズ初上場は通過点。台湾スタートアップの隆々発展


東証マザーズ上場を果たした台湾企業Appier Group


Appier Group CEOのChih-Han Yu 氏は、スタンフォード大学でAIの修士号、ハーバード大学でAIの博士号を取得しており、両大学でAIの研究者として活躍。研究者としても経営者としても実績がある。Yu氏と現CTOのJoe Su氏がハーバード大学に在籍していた2012年当時、かねてからの友人である現COOのWinnie Lee氏と共に、AIを通じて世界にインパクトを与える貢献をしようとAppierを共同創業。7年後の2019年には台湾発のユニコーン企業として全世界で知られるまでに成長した。

Appierは、最先端のAI技術によって、マーケティングとセールスの領域において、企業の持つデータが真の価値を発揮することを可能にするAIプラットフォームを提供しており、既に15カ国で事業を展開。エンジニアの約70%がAIかビッグデータの博士号か修士号を取得していることからも技術力の高さが伺えるスタートアップだ。

そのAppierの持株会社Appier Groupが2021年3月30日に東証マザーズに上場し、時価総額は2000億円を突破した。

CEOのYu氏は「グローバルに証券市場について調査したところ、日本の証券市場はアジアの証券市場の中でソフトウェアサービスに関してトップレベルだ。他のアジア諸国の上場企業のリストと比較しても、日本は多数のIT企業が上場し、ソフトウェア・エコシステムが構築されており、事業会社を始め、VCや個人投資家も多い。私たちのようなAI企業にとって東証は非常に魅力的な上場マーケットだ。」と語る。

appier上場時の写真

株式会社東京証券取引所も今回のAppier Groupのマザーズ上場を心強く思っている。「Appier Groupのようにグローバルに活躍している企業の東証上場は、市場の活性化を促進し、多くの会社および投資家の皆様に活用いただけるような魅力ある市場の発展に資すると考えている。特に、東証マザーズへの上場は、日本との所縁を有する成長性豊かな海外スタートアップ企業にとって、企業価値を高める上で、最適な選択の一つだろう。」と上場推進部の担当者は語り、台湾を含む多くの海外スタートアップ企業が東証マザーズに注目していることに感謝を示した。

また、Appier Group COOのLee氏も「10年前の台湾は起業する人が少なかったが、最近はスタートアップ創業時からグローバルビジネスを展開しようと考える頼もしい若者が増えており喜ばしい。シリコンバレーや日本のベンチャーキャピタルが台湾スタートアップに投資し、事業展開を支援してくれていることも要因の1つだ。」と感謝を語ってくれた。

成長目覚ましい台湾と日本のコラボレーションを通して、共にアジアのエコシステムを拡大し、グローバルな存在感を示す未来が思い描かれる。

連載:イノベーション・エコシステムの内側
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文=森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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