ビジネス

2021.05.30

Z世代重視のアバクロ、デジタル戦略でコロナ前より増収増益

Roland Krivec/DeFodi Images via Getty Images

カジュアルファッションの米アバクロンビー&フィッチ(A&F)は先ごろ、2021年第1四半期(5月1日まで)の決算を発表。同期の営業利益が2008年以降の最高額に達したことを明らかにした。

主力ブランドのホリスター(ギリー・ヒックスを含む)、アバクロンビー&フィッチ(アバクロンビー・キッズを含む)の売上高はそれぞれ、前年比で60%以上増加。全体の売上高は同61%増の約7億8100万ドル(約857億円)となった。

さらに、売上高は新型コロナウイルスのパンデミック発生前、2019年第1四半期と比べて6%増加。同社にとって最大の市場である米国では、18%増となった。デジタルを通じた販売の売上高は、前年比45%増の4億300万ドル(売上高全体の52%を占める)で、2019年同期と比べて81%増加している。

A&Fの復調は主に、実店舗の小型化や閉鎖、販売のオムニチャネル化を推進してきたことによるものだ。世界全体の実店舗の売場面積は、2019年第1四半期と比べておよそ20%縮小しており、店舗数は現在、ホリスターが499、アバクロンビーが232となっている。

ターゲットはZ世代


A&FはデジタルネイティブであるZ世代のライフスタイルに合わせた製品ラインを展開することで、若者たちとの結び付きを深めようとしている。ホリスターを通じて5月20日、ティーン向けの新ブランド「ソーシャル・ツーリスト(Social Tourist)」をローンチした。

TikTokでおよそ1億7000万人のフォロワーを持ち、トップを誇るディクシー・ダミリオ、チャーリー・ダミリオ姉妹とのコラボレーションによって実現した新ブランドは、主に4つのライン(ジェンダー・インクルーシブ、トレンド、プレミアムベーシック、スウィム)で商品を展開する。

どの商品ラインにも、毎月新たな限定アイテムを投入。5月は姉妹のファンに新ブランドを紹介することをテーマにした商品を発売した。6月はそれぞれのパーソナリティーを反映した商品(ディクシーは主にダークカラーでエッジの効いたデザイン、チャーリーはフェミニンでキュートなスタイル)を発売するという。

また、ソーシャル・ツーリストにはアパレル業界で30年以上にわたって販売やデザインに携わってきたダミリオ姉妹の父、マークがコンサルタントとして参加している。
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編集=木内涼子

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