「溶岩で焼いたピザ」が突然のブーム、グアテマラの火山で

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活発な火山活動が続くグアテマラのパカヤ火山では、溶岩や火山灰が噴出し、地元の住民や警察は警戒を強めている。しかし、34歳の会計士であるデビッド・ガルシアは、山腹を流れる溶岩を見て新たなビジネスを立ち上げた。それは、くすぶる火山岩の上で焼いた「パカヤ火山ピザ」を、旅行者や地元の住民に販売するというものだ。

「多くの人が、火山熱で焼いたピザを食べるという体験を楽しみに訪れている」とガルシアは現地メディアのインタビューで述べている。標高2500メートルのパカヤ火山は、首都のグアテマラ市の南方約25キロに位置し、グアテマラにある38の火山の中で最も活発だ。

パカヤ火山は、70年以上の休止期間を経て1961年から活発に噴火するようになった。今年に入ってからも噴火は絶え間なく続いており、3月末には大規模な爆発が2度発生した。

ガルシアは、クレーターへと続く岩石の多い場所に仮設の調理場を設置し、1000°Cまで耐えられる鉄板の上にピザ生地を広げ、その上にトマトソースやチーズ、野菜、肉を乗せて焼いている。彼はミリタリーブーツを履き、頭からブーツまでを防護服で覆い、ピザを乗せた鉄板を溶岩の上に乗せている。200~300°Cの熱い岩の上で10分焼くと、ピザが出来上がる。



ガルシアは、2013年に山腹で岩の合間に見つけた小さな空洞で初めてピザを焼いたという。「最初の数日は売れ行きが悪かった」と彼は話すが、現在ではSNS上で彼の知名度は急上昇している。パカヤ火山が頻繁に噴火する中で、この数週間は住宅地に迫りつつある溶岩流の上で直接ピザを焼くようになった。

「溶岩の上で焼いたピザを食べるのは刺激的で、世界でもかなりユニークな体験だ」とガルシアのピザを食べに来た観光客のFelipe Aldanaは述べた。しかし、この体験にはリスクも付きまとう。パカヤ火山からは溶岩だけでなく、火山灰や岩片、有毒ガスが噴出しているからだ。

世界中の火山が近くにある地域では、溶岩の上で料理をする習慣が存在する。溶岩には、熱を均一に伝え、徐々に放熱する性質がある。蒸気や臭いは少なく、放熱が遅いので調理のプロセスをコントロールしやすい。

若手の火山学者も、溶岩や温泉の熱を使って卵とハムを料理する実験をよく行う。アイスランドの火山が噴火した際には、火山学者や観光客がトーストとソーセージを溶岩流の上で調理し、食事の最後にコーヒーを入れて楽しんだ人もいた。

編集=上田裕資

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