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「ウッドショック」は対岸の火事ではない。木材を輸入で賄う日本には、その影響が出始めている。価格の高騰は、いずれ住宅価格に反映される可能性があり、消費者にとっても無視できない存在だ。

そうした状況であがる、国産材シフトへの声。しかし、日本の林業界の動きは鈍いという。チャンスにあっても国産材の増産になぜ踏み切れないのか、森林ジャーナリストの田中淳夫氏が解説する。

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買い負け状態にある日本


今年3月の初め頃、知り合いの木材業者から電話が入った。「フローリング用の木材が高騰して手に入らない、どこか別のルートはないか」というのである。さらに同日、別の業者からは「ヒノキの製材価格が2倍になった」という悲鳴も届いた。

各所に探りを入れると、どうやら騒ぎの発生源は外材にあるらしい。アメリカやカナダ、それにヨーロッパの建材価格が跳ね上がったのだ。そのため製材業者や集成材業者は国産材へ殺到し、日本でも価格が高騰。同時に品不足にもなった。この木材価格の高騰現象は、ほどなく「ウッドショック」と呼ばれるようになる。

原因は、アメリカの住宅バブル。もともとカナダの森で虫害が発生していたうえ、コロナでの不況を予測し減産していた。ところが予想に反して木材市場は、活況に転じる。莫大な財政出動と歴史的な住宅ローンの低金利政策が取られた結果、市民がリモートワークのために、郊外に新しく住宅を購入したり、リフォームを盛んに始めたりしたのだという。

同じことは、コロナ禍を早期に抑え込んだ中国でも起きた。コンテナ不足という物流事情も加わり高値となった木材を、世界中から買い集めている。

日本は、その高値に手も足も出ず、買い負け状態だ。木材需要の6割を外材、とくに建築材の多くを米材や欧州材に依存しているため、一気に木材不足に陥ったわけだ。

文=田中淳夫 編集=露原直人

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