調査は米シンクタンク、大西洋評議会のデジタルフォレンジック研究所が実施し、その結果をまとめた報告書を26日に公表した。それによると、Qアノン関連の「チャター」(関係者がやりとりするメッセージ、「おしゃべり」)は新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の初期に急増。黒人男性ジョージ・フロイドの暴行死事件に対する抗議行動のさなかの昨年6月にピークに達したあと、議会襲撃事件前に再び増加していた。
だが、この事件を受けて主要なソーシャルメディアがモデレーション(不適切なコンテンツの監視)ポリシーを厳しくし、Qアノンがらみの多数のアカウントやグループを禁止した結果、プラットフォーム上のQアノン関連の投稿は「低いささやき」程度のものになった。
デジタルフォレンジック研究所は、Qアノン関連のチャターの減少には、この陰謀論の始まりとなった「Q」という匿名投稿者の「長い沈黙」や、2020年大統領選でのドナルド・トランプの敗北、オンラインコミュニティーで行われた別の暗号の使用の呼びかけによる影響もあったが、ビッグテックによる取り締まり強化が最も大きな影響を与えたとしている。
Qアノン信奉者の移行先として、パーラーやギャブ、テレグラムといった代わりのソーシャルメディアが注目されている。しかし、同研究所のチームは「調査結果からは、Qアノン信奉者が主要なソーシャルメディアプラットフォームでの以前の活動に匹敵する規模で、代わりのプラットフォームを従来のように使っているという見方は否定される」と述べている。
Qアノンの信奉者たちは、ハリウッドの俳優や民主党員、その他有名人らが小児性愛者向けに世界規模で子どもの人身売買ネットワークを運営していると信じ、トランプがそれを一網打尽にする日を待望。オンライン上に強固なコミュニティーをつくり、暗号やスローガンを用いて連絡を取り合っていた。議会襲撃事件は、Qアノンがはびこっていたのと同じ右派系オンライン掲示板で組織され、参加者の何人かはQアノンの有名なインフルエンサーだったことが確認されている。
デジタルフォレンジック研究所の報告書は、一部のQアノン信奉者はアプローチを変えたり以前と異なる暗号を用いたりしながら、活動を継続していると結論づけている。主張内容は以前と大差ないものの、Qアノンコミュニティーの成長期にみられた特徴的な言語スタイルをもたない、「新Qアノン」と呼ばれる緩いつながりの陰謀論集団に移行した人もいるという。
今回の調査によれば、昨年年1月1日から今年4月1日までに、Qアノンに関する言及は主要ソーシャルメディアと代替ソーシャルメディアの合計で4500万回にのぼっていた。