香港ではワクチンの安全性に懸念を持つ人が多い上に、接種後に副反応が出た人や、死亡した人(ワクチンとはほぼ無関係と思われる)の例が報じられていることなども、接種を避ける原因になっている。
こうした状況を受け、接種を受ける人たちに(現金給付などの)インセンティブを与えるべきとの案も浮上した。だが、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官はこれを否定。備蓄を活用するため、非居住者のワクチン接種を認めることを決定した。
WHO事務局長は批判
国際社会は全体として、富裕国がその他の国・地域でより有効に活用できると考えられる分まで、生産数の限られたワクチンを「買いだめ」していることに不快感を募らせている。
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、すでにワクチンを十分に確保した各国・地域は、子供や若者たちへの接種を始める前に、備蓄分を高リスクの人たちにさえ接種を受けさせることができない地域に寄付するべきだと主張。現在の状況は、「道徳的に壊滅的」だと批判している。
香港にも、未使用分の使用期限が切れる前に、必要とする人たちに寄付することが求められている。だが、アフリカ連合を通じて使用期限が近づいたワクチンの寄付を受けたマラウィは先ごろ、アストラゼネカ製ワクチンを大量に焼却処分した。接種が順調に進まず、使用期限が切れてしまったためだという。