ㅤ鎌倉市在住のフリーランスライター兼編集者

オシロ代表取締役社長 杉山博一

熱量の高いファンと継続的な関係を構築するためのプラットフォームを提供するオシロ。NZとの2拠点生活に終止符を打ち起業した代表の杉山博一に、その理由や現在の趣味について聞いた。


作家やアーティストが表現活動をし続けていくためにはどんなバックアップが必要か? オシロは「コミュニティ・ファースト」という考えのもと、月額制のファンコミュニティサービスを提供しています。内容としてはグループ、チャット、ブログ、イベント、カートレスECなどの機能があり、メンバー限定で見られるコンテンツやイベントを通して仲間と出会って、部活動のような交流ができます。

おかげさまで現在は漫画『宇宙兄弟』の作者・小山宙哉氏の「コヤチュー部オンライン部室」、脚本家・大宮エリー氏の「エリー学園」、雑誌『Tarzan』のコミュニティ「TEAM Tarzan」など70以上のコミュニティが生まれ、それぞれコンテンツホルダーとファンがつながるだけでなく、ファン同士が活発に交流しあっています。

僕が作家やアーティストを応援しようと思ったのは、20代で始めたアート活動を30歳を機にやめた、という自身の経験が原点です。作家やアーティストが活動を続けていくために重要な要素は「お金」と「エール」。孤独に打ち勝ち、制作に没頭するためには、特に後者の要素が必要なのです。

実は30代半ばにデザインとコンサルを併せもった会社を起業し、ビジネスパートナーがニュージーランド(NZ)に移住したこともあって興味が湧き、1年の約半分はNZで暮らすようになりました。しかし、2014年11月に「日本を芸術文化大国にせよ」という天命が下りてきたことで、日本に完全にベースを移動。翌年早々から「お金」と「エール」の両方をアーティストに提供できるシステムをつくり始め、2年後にオシロを創業しました。

NZでの海のそばでゆったりとした日々を過ごす生活は100%満足でしたが、40歳を過ぎて初めて志をもち、仕事にのみ邁進するいまの生活は1000%楽しいです。

最近ハマっているのは、ヨットです。10年ほど前のことですが、イタリアなど世界中のヨットレースに出場している経営者の方に、世界一美しいと名高い「モーリス」というヨットに乗せてもらいました。風力で走るヨットは、向かい風でも前進することができます。海上で風の力だけで進んでいく“あの感じ”を味わうと、大袈裟(おおげさ)ではなく涙が出る。その魅力がずっと忘れられず、昨春その方に弟子入りしました。

師匠はひとりで乗れるようにヨットを改造していて、僕もひとりで乗れる方法を教わっています。ただ、手取り足取り教えてくれるわけではないので、師匠の行動を盗み見てメモを取り、実践するのみです。

単純にヨットの乗り方を会得したいだけだったら、弟子入りはしていなかったかもしれません。むしろ師匠の人間性、いや人間力が、僕の学びたいこと。その方は着物や書道、和食など日本の文化にも造詣が深いので、そういった方面からの学びもとても大きいのです。

社長になったからこそ、弟子という立場で誰かに教えを請うことは、とても豊かな時間です。週末、海の上で風を感じること。そして師匠をもち、「人生いつまでも修業」という環境に身を置くこと。それらこそが、自分のクリエイティビティを高めているのではないかと感じています。

構成=堀 香織 写真=yOU(河崎夕子)

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