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キックスターターでのキャンペーンを終えたのち、2人は前述のインキュベーター内にオフィスを構えた。オフィスといっても、窓も暖房もないデトロイト市内のガレージだったが、異例の寒波が押し寄せた2014年から15年にかけての厳冬期、2人はここで、新たな事業の立ち上げに精を出した。

それから1年半後には最初の従業員を採用し、事業の拠点を「ポニー・ライド(Pony Ride)」に移した。歴史ある街並みで知られるデトロイトのコークタウン地区にあるコワーキングスペースだ。

その後も、自社のEコマースサイトを通じた消費者への直販に販路を絞り、テーブルの脚やベッドフレームの販売を続けたフロイドは、2018年にベリンギア主導のシリーズAラウンドで1000万ドルを調達。さらに同年には、従業員15人が働く本社を構えた。

今回のシリーズBラウンドで新たに調達した資金を用いて、オデルとホフは、自社製品をマス・マーケットに売り込むための施策に取り組みたいと考えている。具体的には、ウェブサイトのデザインや、バックエンドのインフラ、カスタマーサポート、フルフィルメントおよび製造ネットワークに投資するという。

同時に、サステナビリティに関する取り組みも、一層強化していく意向だ。こちらの目標については、「フロイド・フルサイクル(Floyd’s Full Cycle)」プログラムを発表した。これは、普通に使えるものの、製造時に傷や欠けなどが生じた難ありの家具を、割引価格でオンライン販売する試みだ。

ウィリアムズソノマ傘下のブランド「West Elm」や、前述したCrate & Barrelなどの大手家具メーカーも同様の取り組みを行っているが、これらの企業での販売はアウトレットの実店舗に限られている。

「我々が目指すのは、Crate & Barrelを超えるとは言わないまでも、同程度の規模を持つ会社を作り上げることだ」と、共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務める35歳のカイル・ホフは目標を語る。「フルサイクルは、この目標にぴったり合致したプログラムだ。1年しかもたない製品を売らずに、大企業をつくりあげる道筋は数多くある」

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フロイドのベッドフレーム(photo CODY JAMES)

640億ドルの規模を持つ米国の家具市場で、フロイドは、自社製品を体験してもらう戦略に注力することで独自の地位を切り開いてきた。その一例が、オレゴン州マウントフッドやカリフォルニア州ビッグベア、ニューヨーク州キャッツキルズなどのリゾート地にあるエアビーアンドビー宿泊先のスポンサーとなり、自社の家具を設置する試みだ。その狙いは、同社が守りたいと考えている自然豊かな環境の中で、自社製品を顧客に試してもらうことにある。

また、フロイドでは「Lived In」というウェブマガジンを運営し、顧客の体験談や、同ブランドの背景、さらには室内空間を有効活用するヒントなどを紹介している。

フロイドのシリーズB資金調達ラウンドを主導したウォールデン・ベンチャーキャピタルの創業者アート・バーリナー(Art Berliner)は、「フロイドの家具のように、本物の価値を備えた逸品は、販売されたあとは誰にも顧みられず、そのうち捨て去られてしまう製品とは異なる」と語る。「それは、本当に大切な人との関係のようなものだ。あなたにも、信頼を寄せる人たちがいるだろう。それと同じように、フロイドは信頼できるブランドなのだ」

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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