コロナ感染「抑制に成功」のシンガポール、相次ぎクラスター発生

クラスターが発生したチャンギ国際空港(Photo by Ore Huiying/Getty Images)


3番目に大規模となったラーニングポイントでのクラスターでは、5月20日までに28人の感染が確認されており、うち15人は授業に出席していた子供たちだった。新たな変異株はワクチン接種を受けていない子供たちの間で感染を広げやすい可能性が高いとして、懸念されている。

感染した子供たちの濃厚接触者となるクラスメートは当初、自宅待機が命じられたが、その後ホテルでの隔離を指示されている。オン保健相は、同省のケネス・マク医療サービス局長の見解として、「インド由来の変異株B.1.617は、子供たちにより多大な影響を与えるようだ」と話している。

「成功した国」の現状が示唆するのは─


世界全体の感染者数から見れば、シンガポールでのクラスターは、それほど大きな問題のようには思えないかもしれない。

だが、これらは感染者を追跡し、濃厚接触者を検査し、効率的に隔離を行うという厳重に管理、運用されてきたシステムの中から、漏れ出すように広がり始めた感染だ。このような効率的なシステムを持たない国、またはこうしたシステムによる管理体制を緩和している国は今後、同国よりはるかに大規模な感染拡大に悩まされることになりうる。

感染者が大幅に減少した米国と英国には、変異株の影響は誇張されているとの誤った見方がある。楽観視は禁物だ。米国では、ワクチンの接種率が伸び悩むと同時に、ブレイクスルー感染が発生している。そして、米国に入国する人の隔離に関する規則は、主に自己申告の情報に基づき適用されている。

各都市で経済活動が再開され、レストランやバー、オフィスがマスクをしない人たちであふれるようになれば、感染がまた急拡大するリスクは、十分にある。

編集=木内涼子

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