米国のショッピングモール、人足の戻りは回復のサインか

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米国のショッピングモールに、買い物客が戻りつつある。現在のペースでいけば、夏までには、人出がパンデミック以前の水準に到達するかもしれない。

人流計測と分析を手がける企業センサーマティック・ソリューションズ(Sensormatic Solutions)が、今春のモールでの買い物客の回復状況を調査したデータによると、現在のモールの人出は2019年5月と比べて依然として大幅に劣るものの、その差は急速に縮まってきている。

米疾病予防管理センター(CDC)は5月13日、ワクチン接種を完了した人についてはマスク着用とソーシャルディスタンス維持は不要との見解を示した。だが、それ以前から、店内で安全に買い物できるという消費者の自信は顕著に高まってきていたことを、センサーマティック・ソリューションズの調査は示している。

2021年2月中旬から3月中旬にかけて実施されたこの調査では、店内の感染リスクについて「どちらともいえない」または「気にしない」という回答が全体の半数を占めた。「とても不安」と答えた回答者の割合は、2020年4月の29%から大幅に下落し、16%だった。

センサーマティック・ソリューションズは、世界的なビル・セキュリティ・システム企業であるジョンソン・コントロールズの傘下企業で、モールの小売店で広く利用されている人流計測デバイス「ショッパートラック(ShopperTrak)」を提供している。

同デバイスの最新データによると、モールでの人流は、2020年の急激な減少から回復し始めている。

センサーマティック・ソリューションズは現在のトラフィックを、パンデミック前である2019年の水準と比較して分析をおこなっている。2020年春には、全米のほぼすべてのモールが休業していたため、この比較方法は適切だ。

同社の調べによると、2020年ホリデーシーズンの終わりから2021年3月中旬の期間について、モールの人出は2019年の同時期と比べて42%減だった。しかし、3月中旬から5月12日までの期間については、2019年と比べて24%減にとどまった。

オープンエアのショッピングセンターはモールよりも急速な回復をみせており、3月中旬までは29%減だったが、5月までのデータでは18%減に改善している。

センサーマティック・ソリューションズの調査結果によると、消費者の過半数(54%)は、最も頻繁に利用する小売店として、独立店舗やストリップモール(歩道に沿って店舗が並ぶ形式のショッピングモール)をあげた。以下、オープンエアのショッピングセンター(16%)、オンライン(14%)、屋内モール(9%)、アウトレット(7%)と続く。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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