ゴーン被告が改めて疑惑を否定、「逃亡で自由になれた」発言

カルロス・ゴーン(Frederic Legrand - COMEO / Shutterstock.com)

今から約1年半前に日本からの逃亡劇で注目を集め、世界で最も有名な逃亡者の一人となったカルロス・ゴーンが5月24日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事でフランスの捜査官と話す準備ができていると述べた。日産自動車の元会長であるゴーンは、様々な法的トラブルに直面している。

2020年1月からベイルートに滞在中のゴーンは、WSJの取材に「フランス当局の捜査官と会うことを楽しみにしている」と述べ、自らの意思で聴取に応じると話した。

フランス当局は、ベルサイユ宮殿でゴーンが開いた2つのパーティーについて、ゴーンがルノーCEOとしての地位を悪用して会社の資金を不正に流用したかどうかを調べている。さらに、ゴーンがルノーとオマーンの自動車販売店を通じて数百万ドルの資金を私的に流用したとされる疑惑について調査している。

WSJの記事によると、ゴーンは資金の不正流用疑惑を否定し、ベルサイユ宮殿でのパーティに法的問題はないと主張している。また、オマーンの販売店への支払いも合法的なものだと述べている。

ゴーンは、フランス以外でも法的問題に直面している。先週はオランダの裁判所が、ゴーンが日産三菱BV(NMBV)を相手取って起こした不当解雇の訴訟を破棄し、ゴーンに対し600万ドル(約6億5000万円)近い報酬を返済するよう命じていた。

ゴーンはまた、過去1年半にわたり居住してきたベイルートのピンク色の壁の豪邸の使用権をめぐる訴訟も抱えている。ゴーン側は、この邸宅は退職金の一部として日産から与えられたものだと主張しているが、日産側はゴーンに立ち退きを求めている。

しかし、日本を離れて以来、20数件もの訴訟に直面しているにもかかわらず、ゴーンは逃亡を後悔していない模様だ。「私は別の人生を失ったが、自由を手に入れた」と彼はWSJの取材に語った。

ゴーンの法的問題が最初に明るみに出たのは2018年のことで、東京地検特捜部はゴーンが自らの報酬を過少申告した疑いで逮捕に踏み切っていた。ゴーンは、それ以来、自らの容疑を一環して否認し、逮捕は日産の関係者や日本政府が、ルノーと日産の経営統合を阻止するために仕組んだ陰謀だったと非難している。

2019年の年末に、ゴーンは東京の自宅での軟禁を逃れ、楽器のケースに隠れて国外に逃亡し、世界に衝撃を与えた。彼はその後、「日本では公正な裁判を受けられないと感じた」と述べていた。「私は正義から逃走したのではなく、不正と政治的迫害から逃れたのだ 」と、彼は逃亡直後の記者会見で話していた。

編集=上田裕資

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