脱炭素にPaaSの真価。2021年に注目の「サーキュラーエコノミー」5つのテーマ

今年加速が期待される5つのテーマ(Shutterstock)


この脱炭素とサーキュラーエコノミーの関連づけについては、世界で議論が開始されています。2021年は、11月に英国グラスゴーで開催されるCOP26(もしくは周辺会合)や4月にオランダで開催が予定される「世界循環経済フォーラム(WCEF)」などでさらに議論が加速されます。とりわけプラスチックについては、国際条約締結に向けた交渉を開始するかどうかが、2月に行われる次回の第5回国連環境総会で議題に上ります。脱炭素化とサーキュラーエコノミーへの移行がより一層統合的に進められることになるでしょう。

国内においても、2020年12月に政府より公表された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に、すでに公表されている「循環経済ビジョン2020」を含むサーキュラーエコノミー移行施策と関連づけて議論することが、脱炭素の流れをさらに加速させる鍵になります。

2. リユース・再販市場の拡大


リユース・再販は環境負荷の低い方法として知られていますが、市場の拡大が続いています。その急先鋒であるアパレル業界における世界のリユース市場規模は2019年の280億ドルから2024年には640億ドルに拡大することがTHREDUPレポートにより予測されています。矢野経済研究所によると、国内でも2019年のアパレル業界のリユース市場規模は前年比16.1%増の7200億円で、2022年には9900億円に拡大する見通しです。

さらにリサイクル通信の独自推計では、国内全体のリユース市場は2017年に2兆円に達し、2022年には3兆円にまで成長するとされています。

2020年以降は新型コロナウイルス感染症拡大の影響が少なからず出てくると考えられますが、フリマアプリの普及やリユーステックの浸透により、全体としての拡大傾向は続くでしょう。

ここで大事な点は、リユース・再販にサーキュラーエコノミーの視点が加わることです。製品を分解・原材料に戻すことなく、そのままあるいは洗浄等の整備をするだけで商品価値を落とさないリユースが拡大することで、ブランディングの観点からもリユースの価値が上がってくることが予想できます。2021年はコロナ禍におけるリユース市場の動向に要注目です。

3. PaaSまたはサービサイジングの真価


サーキュラーエコノミーにおける有効なビジネスモデルの一つとして、PaaS(製品のサービス化)またはサービサイジングが挙げられています。サーキュラーエコノミーにおけるPaaSの特徴は、従来の継続課金やサブスクリプションの視点に加えて、すでにある資源を長く使い続けるという循環性の視点が加わっていることです。

製品の所有者をユーザーから製造者・サービス提供者に移管することで、製品の長寿命化・回収・修理・再利用を通じて原材料や製品を長期間維持することが製造者・サービス提供者のインセンティブになるという観点を持つということです。詳しくは、こちらをご参照ください。
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文=那須 清和

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