現地メディアのNettavisenによると、ノルウェーのテスラ車のドライバー数十人が、2019年のソフトウェアアップデートによって車のバッテリー寿命が削られ、航続距離が短くなり、充電にかかる時間が長くなったと裁判所に訴えたという。
裁判所は、テスラが充電速度とバッテリー寿命を低下させた責任を認め、その対応を怠ったとして、訴訟に参加した30人のオーナーにそれぞれ1万6000ドルの賠償金の支払いを命じた。
判決によると、このアップデートは2013年から2015年にかけて製造されたテスラのモデルSに影響を与え、そのうち約1万台がノルウェーで販売されていた。これらの車両のすべてのオーナーに1万6000ドルを支払うとすると、テスラは総額1億6000万ドルの賠償金支払いを求められることになる。
報道によると、テスラにはノルウェーの裁判所で控訴するために数週間の猶予が与えられているという。フォーブスはテスラにコメントを求めたが、期限までに回答は得られなかった。
ノルウェーは、EV(電気自動車)に対する積極的な免税措置によって、世界最大級のEV市場となっており、今年1月には世界で初めてEVの販売台数がガソリンエンジン車の販売台数を上回る国になった。
2020年のノルウェーにおける新車販売台数の54.3%がEVだった。ノルウェー政府は、2025年までにガソリン車とディーゼル車の販売を終了するという目標を掲げている。
テスラが、ソフトウェアアップデートによってバッテリーに制限を加えたとする同様な訴訟は、他の国でも起こされている。2019年にカリフォルニア州北部の裁判所で起こされた集団訴訟で、原告らはテスラがアップデートによって航続距離を40マイルも減少させたと訴えた。
その際の訴状で、テスラは「バッテリーを修正、修理、交換するという顧客に対する法的義務を回避する目的で、ソフトウェアを不正に操作した」とされていた。これに対し、テスラは声明で、「ソフトウェアアップデートはバッテリーを保護し、寿命を向上させることを目的としたものであり、航続距離の低下に気づいたオーナーはごく一部だ」と述べていた。
米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は同年、テスラのバッテリーの欠陥疑惑についての調査を開始し、現在も調査中となっている。