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2021.05.24 17:00

NFTを社会変革の力に、若きギャラリーオーナーの挑戦

アマール・シン(AMAR SINGH)

アマール・シン(AMAR SINGH)

ロンドンに自身の名を冠したアートギャラリーを所有するアマール・シン(Amar Singh)は、ある目標を目指してキャリアを積んできた。戦後と現代における女性およびLGBTQ+アーティストを支援するという目標だ。

シンは4年ほど前から、NFT(ノンファンジブル・トークン)に静かに投資してきた。そして5月14日、シンは匿名のフェミニスト・アートグループ「Rewind Collective」およびクリスティーズと提携し、11点の原画をオークションに出品した。ヘレン・フランケンサーラー、エレイン・デ・クーニング、グレース・ハーティガン、イヴォンヌ・トーマス、リン・マップ・ドレクスラーといったアーティストによる各作品には、Rewind CollectiveによってNFTが発行される。開始価格はいずれも100ドルだが、落札価格は10万ドルは下らないだろうとシンは予想している。

31歳のシンはNFTについて、「率直に言って、クズ同然のものはいくらでもある」と前置きしつつも、「だが実際に、ハイエンドの部分に注目すると、きわめてパワフルなNFTも存在する。もっとも興味深いのは、重要な理念を擁護するためのレイヤーとしてNFTを利用することで、女性、マイノリティ、LGBTQコミュニティの支援もそのひとつだ」

シンは、Forbesによる2019年の欧州版「30アンダー30」に選出された人物だ。彼は、NFTにはアート界の構造的不平等を解体する力があると考えている。シンは、史上もっとも高額で取引された100作品はすべて男性アーティストによるものだと指摘し、フランケンサーラーやデ・クーニング、ハーティガンといった傑出した女性芸術家たちは、これまでは世界最高峰のオークションハウスで脚光を浴びる機会がなかったと語る。だが、著名人のあいだで女性芸術家の作品をNFT化することへの関心が高まっている今、ブロックチェーン技術がジェンダー平等の促進に役立つのではないかと、彼は考えているのだ。

暗号通貨市場の規模は現在2兆ドルに上り、指数関数的に成長している。一方、調査会社スタティスタによれば、アート市場は2020年に22%縮小し、時価総額は500億ドルとなっている。シンは、2022年にはNFTが市場規模で従来のアートを上回る可能性があると考えている。

「イーロン・マスクや投資家マーク・キューバンといった人々は、これまでアートに関心をもっていなかった。だが今、彼らはNFTに興味を抱いている。暗号通貨とデジタル資産という2つの世界の融合が起きている。(NFTは)間違いなく、従来のアート市場を凌駕するだろう」と、シンは述べる。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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