紛失防止トラッカー「AirTag」と1カ月。出番がないのはいいことか

見分けが難しいAirTag。デザインや素材が違うアクセサリーに装着して使い分けたい


ただ、一方で現在の仕様を逆手に取るのであれば、一緒に暮らすシニアの家族が持ち歩くハンドバッグや財布など大事な持ち物を紛失しないように、家族が見守ることもできる。家族が助け合うためにAirTagを使いたいというニーズもきっとアップルには多く寄せられていると思うのだが、許可してしまうと不正なトラッキングに使う向きも現れるだろうから悩ましい。

アップルのAirTagが注目を浴びたことで、紛失防止トラッカーというものは便利でありながら、本来は不正に利用される可能性のあるデバイスであることが世に広く知られたことはとても有意義だと筆者は思う。他社の紛失防止トラッカーや、その機能を載せたIoTデバイスが不正なトラッキングを防止する対策をしっかりと施している製品なのか、今後は関心の目が向けられることになるだろう。


不正なトラッキング防止はAirTagに限らず、他社のスマートトラッカーにも共通の課題として今後取り組んでもらいたい

ソフトウェアアップデートによる新機能の追加もある


今のところ筆者は紛失防止トラッカーとしてAirTagの使い勝手に満足している。今後「探す」アプリのネットワーク追跡に対応するサードパーティの製品にどんなものが登場するのか楽しみだ。

よくAirTagのライバルとして、アップルよりも早く普及した「Tile(タイル)」の名前を挙げて、ライバルとして使い勝手を比較する向きもあるが、ユーザーにとっては両者の「いいとこ取り」した製品が出てくることが一番望ましい。それぞれのエコシステムに相乗りした上で、不正なトラッキングを防止する機能の出来映え等で差別化を図ったり、ユーザーの期待に寄り添った活気あふれる技術競争が繰り広げられることを願うばかりだ。


AirTagの紛失防止情報に電話番号のほかメールアドレスを選択して登録できるようになった

ところで、最新のiOS 14.6から、誰かが紛失したAirTagを見つけた場合に、電話番号のほかにメールアドレスによるコンタクトが取れるようになる。AirTagをユーザーの持ち物として登録する段階でメールアドレスを入力する。

海外で落とし物をした場合、あるいは海外に住む人の落とし物を発見した場合に「電話をかけて知らせる」ことはとてもハードルが高いのではないかと筆者も思っていた。このアップデートはきっと歓迎されると思う。今後もAirTagが便利になる伸びしろが大いにありそうだ。

連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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文=山本 敦

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