新型コロナワクチン、未成年者の接種を急ぐべき理由

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米国のパンデミック対応が子供と10代の若者たちの感染対策に焦点を絞ったものに移行するのは、そう遠い先の話ではないかもしれない。成人のワクチン接種が進む中、新型コロナウイルスは子供と若者たちの間で、最も効率よく複製し、生き残っていくウイルスになると考えられるためだ。

5月6~13日に確認された新規感染者のうち、未成年者(州により異なるが、大半は19歳または20歳未満)は4万8915人で、全体の24%を占めた。累計の感染者数は過去2週間で3%増え、390万3706人となっている。

米食品医薬品局(FDA)が米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンの対象年齢を12歳以上とすることについて、すでに緊急使用を許可しているのは、幸いなことだ。さらに両社は今年9月には、この年齢を2歳以上に引き下げたいとしている。

一方、世論調査では、ワクチン接種を希望する成人の数は徐々に増加しているものの、子供に接種を受けさせることには懐疑的な親が多い。だが、これまで成人に比べれば重症化する可能性は低いとされてきた子供や10代の若者たちも、新型コロナウイルスの影響を受けないわけではない。

米国小児科学会によると、18歳未満の感染者でも、0.1~2%は入院が必要な状態になっている。さらに、過去1年間には250人以上が死亡している。また、感染して合併症を起こす子供たちもいる。

例えば、発熱や発疹、心臓やその他の臓器にも損傷を与えるMIS-C(多系統炎症性症候群)は、無症状の子供たちに多くみられる。成人と同じように、ひどい倦怠感や頭痛、腹痛といった「後遺症」に悩まされる子供や若者たちもいる。

フィラデルフィア小児病院のポール・オフィット医師は、感染してこうした症状に苦しむ患者の親たちは全員が、「ワクチンを打たせておきたかったと思っているに違いない」と話している。

無症状の若者が感染を拡大


未成年の感染者が増える背景には、さまざまな要因がある。中でもより感染力が強いとされる英国型の変異株(B.1.1.7)が広まっていることには、特に注意が必要だ。米国では感染者の66%以上が、この変異株にかかっている。
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編集=木内涼子

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