皇帝が愛した南アのワイン「ヴァン・ド・コンスタンス」と産地の力

南アフリカのワイン、コンスタンシア・グレンの「TWO」(左)とクレイン・コンスタンシアの「ヴァン・ド・コンスタンス」(右


コンスタンシアは、冷涼な大西洋と温暖なインド洋の中間にあり、海からの影響が大きい場所だ。フォルス湾から冷たい海風が吹き込み、温暖な気温を押し下げる効果がある。

伝説の甘口ワインで名を馳せたワイン産地だが、今では、その冷涼な気候を活かし、秀逸な辛口の白ワインを生み出すことでも知られている。この地を訪れたことがある井黒さんは、「小規模なワイン産地ですが、産地全体としての品質が高い」と評する。



例えば、「コンスタンシア・グレン(Constantia Glen)」ワイナリーの「TWO」は、ソーヴィニョン・ブランとセミヨンの2品種をブレンドした白ワイン。醸造家のジャスティン・ファン・ヴァイクさんはこう説明する。

「コンスタンシアは、南アフリカの中で比較的冷涼なワイン産地です。ブドウがゆっくりと成熟し、ソーヴィニョン・ブランには酸とフレッシュさが備わります。これに、ボディがあるリッチなセミヨンをブレンドすることで、バランスが取れたワインになります」

南アフリカのワイン産業は、コロナ禍で大きな被害を受けている。国内での酒類販売が禁止になっただけではなく、一時的にワインの輸出までもが禁止となり、ワイン産業の損失は甚大だった。

その後輸出は再開され、日本にも、数多くのワインが輸入されている(南アのシュナン・ブランの記事はこちら)。ヴァン・ド・コンスタンスのような歴史のある高級ワインから、カジュアルでモダンなワインまで、幅広いスタイルがあるのも南アフリカ・ワインの魅力の一つ。応援の気持ちも込めて、ぜひ一度味わってみてほしい。

 

島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
連載記事一覧はこちら>>

文・写真=島 悠里 ワイナリー提供

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