ボードレールやディケンズの文学作品に登場するほど人気を博したワインで、ナポレオンのお気に入りでもあり、最期のときまで、1日1本のペースで注文していたという逸話もある。
100年の時を経て復活を遂げたワイン
このワインが生まれた「コンスタンシア(Constantia)」というワイン産地は、ケープタウンの街から車で20分ほどの場所にあり、先端に喜望峰があるケープ半島の中央に位置する。
南アフリカのワイン産業を育んだ「ゆりかご」と呼ばれる、古くからある産地で、ヴァン・ド・コンスタンスの歴史は1685年まで遡る。
しかし、病害や害虫により、19世紀末にはブドウ畑が全滅。栄光のヴァン・ド・コンスタンスは姿を消し、文学の世界やワインセラーの中でのみ生き続ける、幻のワインと化した。
それからおよそ100年の時を経て、1986年、この伝説のワインは、当時の秘密の製法を再現して復活を果たした。現在、ヴァン・ド・コンスタンスを造る「クレイン・コンスタンシア(Klein Constantia)」ワイナリーの醸造家マシュー・デイさんは言う。
「このワインには350年以上の歴史があり、私たちの誇りです。いかに多くの人に楽しんでいただけるか、そして、後世に伝えることを念頭におきながら、ワインを造っています」