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ジョンディア:まず留意しておくべきは、米農業機械メーカー大手の同ブランドが、1837年の鋼鉄製プラウ(トラクターの作業機)までさかのぼる、長い技術革新の歴史を持っていることだ。その結果、ジョンディア・ブランドを擁するディア・アンド・カンパニー(Deere & Company)は、時価総額にして1200億ドル、年間の売上高は350億ドルを超える世界有数の農業機械メーカーとなった。

同社のAIへの取り組みは、マシンビジョン(MV)からスタートした。というのも、同社製品はGNSS(全球測位衛星システム)に接続されているため充実したデータセットが得られるという強みがあるからだ。例えば、春のピーク時には、データ取込量は実に毎秒425メガバイトに達する。これは、毎秒約5000万回のセンサー計測に相当するデータ量だ。

ジョンディアの最高技術責任者(CTO)ジェイミー・ハインドマン(Jahmy Hindman)は、「畑に生えている草のうち雑草とそうでないものをセンサーで識別し、雑草にだけ農薬を散布することで農薬使用量を減らすという当社のプロジェクトは、発売済みの製品や、まもなく市場に投入される製品という形で結実している」と説明する。「さらにこの取り組みは、コンバインハーベスターに関する、ビジョンベースの自動制御システム開発にも導入されている。これは、穀物の収穫・脱穀・選別を行う『走る生産工場』であるコンバインの処理設定を最適化することで、収穫時に失われる穀粒をできる限り削減するものだ」

同社にとっての大きな教訓は、顧客ニーズや求められているものに留意することの重要性だ。「顧客の皆さんが、事業を発展させて世界に食料を届ける、そのお手伝いをするために、私たちは不断の努力を続けている」と、ハインドマンは強調した。

リーバイ・ストラウス:同社のプロジェクトは当初、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う欧州でのロックダウンへの対応として始まった。この時リーバイ・ストラウスでは、積み上がる在庫の管理方法を模索していた。在庫管理を目的に、同社はダイナミックな価格弾力性に関するユニークなデータセットを収集し、これにAIを適用した。

これは、最初は小規模なプロジェクトだったが、迅速に規模を拡大できるポテンシャルを持っていた。このプロジェクトは、2020年5月に試験的に導入された際にはドイツの11店舗のみを対象としていたが、同年10月には欧州全域の17カ国に採用されるまでに発展した。さらにこのシステムは、中国で大規模なセールが行われる11月11日の「独身の日」への対応にも使われた。

リーバイ・ストラウスで、データ・分析・AI分野のグローバル責任者を務めるルイ・ディチェザリ(Louis DiCesari)は、「この経験から導き出した、3つの教訓を皆さんにお伝えしたい」と振り返る。

「第1に、自社の戦略的優先事項に合致した、実際のビジネス課題を選び、それを実行可能な具体的ステップに落とし込むこと。第2に、完璧なデータや技術の入手、あるいは最新アルゴリズムの使用にこだわりすぎてはいけないこと。それよりも、機敏性を重視し、最小限の実行可能な成果を積み上げ、常に効果測定を怠らず、繰り返し実行して新しい機能を加えていくことが大切だ。そして最後に、当然のことだが、ビジョンを設定し、このビジョンの達成度を組織全体に伝達し、フィードバックを促すことが必要だ」

リーバイ・ストラウスが技術革新を加速し、これまで以上に機敏に動けるようになったのは、AIの力のたまものだと、ディチェザリは強調する。「2021年における我々の目標は、すべての国と企業の機能にさらなる価値と支援を提供し、事業全体にデータとAIを浸透させ、新しい働き方を可能にし、プロセスの合理化を進めることだ。同時進行で、資産のデジタル化も進めていきたい」と同氏は付け加えた。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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