ハイヒールを脱いで、農場へ──淡路島の循環型ファームから、社会への問いを投げかける


ある時パソナの人事部から、社内ベンチャーを立ち上げた立場としてインターン生や新入社員向けに話をして欲しいと言われたことがあって。その中で参加者に実際の作業を体験してもらい、非常に好評だったこともありサービスとして確立していきました。

このプログラムは小学生から法人向けまで幅広い年齢層をターゲットに展開しているのですが、SDGsへの関心の高まりもあり、問い合わせが急増しています。

SDGsは言葉で説明すると、理想ではあるけれどどうすればいいのかよく分からないと思われがち。けれど「循環」や「多様性」という概念も、私たちのフィールドでは手に取るように体感できます。

「SDGsというのは難しいことじゃなくて、すごく自分に関係あることなんだよ」というのを話した後、実際に土を触ってみたり、雑草の役割を理解したりします。触って、見て、匂いを嗅いで、体感して。そんな風にしてSDGsを自分ごとにしてもらうんです。

ちなみにシードベッドって聞き慣れない言葉ですよね。実は「苗床」(びょうしょう)と言って、苗を育てる場所という意味です。まだ芽が出ていない、気がついていない人たちに問いを投げかけることで、彼らが自分の考えを持って芽を出す場所でありたいなと思って名付けました。

自分たちの衣食住が何から出来ていて、どんな社会の仕組みを経て私たちの手に届いているのか。体験プログラムではそんな問いをどう投げかけたらいいか、常に試行錯誤しながら取り組んでいます。

このお土産のような「問い」こそが、タネノチカラがもつ価値。

提示された正解ではなく、現状を健全な批判を持って見ること。そうして問いに対し、模索しながらもより良いと思う方へ行動していけるような人を増やしたいのです。

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パソナ新入社員に向けて、現地でタネノチカラの活動内容を体験をしてもらったときの様子

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文=櫻井朝子

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