こうした状況で、たとえ開会式までに感染者数がより管理可能な水準にまで減少したとしても、ワクチン接種を受けていない多くの人を日本に入国させ、移動を認めることは無責任だ。
ワクチンに対する信頼度が世界で最も低い国の一つである日本で、会場とその所在する地域全体の医療体制と、公衆の安全を真に危険にさらすことになりかねない。
接種は「義務化」が不可欠
IOCは出場する選手たちに対し、ワクチン接種を義務付けようとはしない可能性がある。どちらかといえば、選手に「注射」は勧めたくないからだ。注射器に入っている化学物質が何であれ、それによってオリンピックとオリンピズム(オリンピックのあるべき姿)の高潔さを侵害されたくないのだ。
だが、この考えはまったくの誤りだ。選手たちが大会終了後、世界中に新たな変異株の感染を拡大させる危険性も高めることになる。大会に参加する人たちは全員が少なくとも1カ月前に、2回の接種を完了させておかなければならない。そして、医師がそれを証明する仕組みも整えておく必要がある。
大会の中止について議論できるときはすでに過ぎた。主催団体と選手たちが自らの安全と開催地の安全、そして世界の安全を保証するために残された時間は、あとおよそ2カ月だ。
公衆衛生と、多数の死者を出す疫病から逃れたいという世界中の願いの両方に同時に対応するための主要なツールは、ワクチンと検査、そして隔離だ。IOC、東京五輪・パラリンピック組織委員会、そして日本政府が、それを正しく理解してくれることを期待したい。
──つまり、IOCが可能な限り多くのワクチンを大会参加者に提供するのは、当然のことだ。