アマゾンは「レコグニション」として知られる顔認識テクノロジーの警察向けの販売を2020年6月に、1年間停止すると発表した。これは、ミネアポリスで起きた警察の暴力によって黒人男性が亡くなった事件を受け、全米に抗議行動が拡大したのを受けてのものだった。
同社は、顔認識テクノロジーが警察による黒人コミュニティの監視に利用され、特定の人々が誤認される恐れがあるという市民団体からの抗議を受けて、販売を一時停止し、連邦政府による適切な法律が整備されるのを待つと述べていた。
ポートランドやサンフランシスコ、ミシシッピ州ジャクソンなどの10以上の都市が警察による顔認識技術の使用を禁止しているが、連邦レベルでの規制はまだ導入されていない。
アマゾンの今回の決定は、ロイター通信の5月18日の報道で明るみに出た。マイクロソフトも昨年、顔認識技術の利用の無期限停止を発表しており、IBMも顔認識関連のプロダクトを完全に廃止すると述べていた。
フォーブスは先週、人権団体がアマゾンに対し、警察への顔認識テクノロジーの提供を恒久的に停止するよう求めていると報じたが、彼らは警察がこの技術を黒人コミュニティの監視に用いることを危惧している。
米国自由人権協会(ACLU)のテクノロジー・プロジェクトの副所長のネイサン・フリード・ウェスラーは、プレスリリースで「アマゾンが、警察への顔認識テクノロジーの提供停止措置を、延長したことを嬉しく思う」と述べた。ACLUは今後、より厳しい法律の制定を求めていくという。
アマゾンは、5月26日に年次株主総会を予定しており、そこではレコグニションが政府に利用された場合のリスク査定を、第三者機関に依頼するという提案の決議が行われる。アマゾンは、株主らにこの提案に反対するよう呼びかけている。